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民団中央で北韓問題時局講演会

関係者ら語る日本人ら致にも言及



北韓の実態をえぐった時局講演会

■北送事業は金日成と韓徳銖の陰謀

 「北送(帰国)事業」から40年目を迎え、12月11日、韓国中央会館で開かれた北韓の国家的犯罪を考える「時局講演会」では、作家でジャーナリストの萩原遼氏(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会共同代表)が、「北送事業とは何だったのか」、朝日放送の石高健次報道プロデューサーが「北送事業と日本人拉致の相関関係」、そして娘のめぐみさんを北韓に拉致された横田ジ・早紀江夫妻が事件の経過と現在の心情を訴えた。

 韓国に亡命した黄長ヨウ氏の『強権におびえるな』を、来年2月1日に翻訳出版する萩原氏は、「帰国運動は日本共産党の傘下にあった在日朝鮮人運動の指導権を北朝鮮に直結させ、在日の労働力を北に集約させた金日成と韓徳銖の陰謀」と語り、「帰国運動は形を変えた拉致事件。帰国者や日本人妻を日本に連れて来るべきだ」と訴えた。

 石高氏は、北に「帰国」した2人の息子の安否を材料に、北のスパイ、辛光洙が大阪の在日朝鮮人商工会の会長を脅し、共犯の同理事長に日本人コック、原敕晁さんを北に拉致した事件を認めさせたVTRを再現。「日朝国交交渉のために拉致事件が隅っこに追いやられ、民間団体に被害者の救出を預ける日本政府の弱腰に怒りを覚える」と糾弾しながら「事実を忘れずに世論を盛り上げ、問題解決を」とアピールした。

 横田ジさんは、「国家主権と人権が侵害された拉致問題を赤十字に委ねたことは納得できない」と政府の対応に疑問を投げかけ、著書『めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる』を発刊した早紀江さんは「娘が行方不明になって20年間何もわからなかった。どうしてこんなむごいことがあるのか」と語り、「国民の命を守るのが国の仕事。個人の力ではどうにもならない」と継続支援を訴えた。

 八十余人の参加者は口々に「辛く長い道のりでも正義を守り通すことを、周囲の人々に伝えていかなければと痛感した」「北送同胞を救う責任を朝鮮総連に問う必要がある」「非常に大事な問題なので全国的に講演会の開催を」「日朝国交交渉を前に非常にいいタイミングだった」「友人を30年前に新潟から送った。便りも途絶えがちだが、病に倒れていると聞いている。1日も早い自由往来を願う」と感想を述べた。

(1999.12.15 民団新聞)



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