民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
写真で見る1999年(写真特集)



写真は韓国を訪問した小渕首相との
首脳会談で金大中大統領はあらためて
在日韓国人への地方参政権
早期実現を要請した

□■地方参政権実現へ大きな前進■□

◆金大中大統領、早期実現を再要請

韓国を訪問した小渕首相との首脳会談で金大中大統領はあらためて在日韓国人への地方参政権早期実現を要請した

 金大中大統領は3月20日、韓国を公式訪問した小渕恵三首相と青瓦台で首脳会談を行い、昨年秋に訪日した際にも日本側に強く求めていた永住韓国人への地方参政権運動付与問題について「韓国に定住する外国人に対して参政権を付与していくことを検討している」と述べ、日本側の前向きな対応を求めた。

 小渕首相も「自民党で検討しているが、一歩突っ込んだ形で真剣に検討したい」と実現に前向きの姿勢を示した。


公式訪日した金鍾泌総理も
在日韓国人の地方参政権を
再三にわたって要請した

◆金鍾泌総理も後方支援

 韓国の国務総理として初めて公賓として9月1日から訪日していた金鍾泌首相は5日、すべての日程を終え帰国した。日程中、金首相は民団が全組織を挙げて展開している永住韓国人への地方参政権問題について小渕恵三首相との会談や、関連団体との懇談会などを通じ、「1日も早く実現するよう」強く要請した。

 東京と大阪で行われた在日同胞との懇談会の席で金首相は、常に母国への自発的な貢献とその愛国心を高く評価しながら「在外同胞財団」を通じた支援をはじめ、母国内での待遇改善や地方参政権問題の実現へ最大の支援をしていくことを約束した。

 小渕首相との会談で金首相は、永住韓国人への地方参政権問題について、付与の検討を改めて要請したのに対し、小渕首相は「関心の大きさをよく理解している。各党各会派で議論しており、自民党も選挙制度調査会で行っている」とし、今後も検討を続ける考えを表明した。

 また、10月に済州で開かれた第2回韓日閣僚懇談会でも韓国は早期実現を訴えた。

5月11日、全国の団長が一斉に政府
政党、関係省庁に陳情活動を展開した


◆全国団長が一斉に陳情

 地方参政権の年内立法化をめざす民団が5月11日に全国代表陳情団を構成し、総理をはじめとした政府、国会、政党など日本の関係部署十一カ所に「永住韓国人の地方自治体選挙権の早期立法化を求める決議文」を伝達した。同日行われた「99年度前半期全国地方団長・中央傘下団体長会議」の決議を受けたもので、地方参政権運動での統一陳情行動は初めて。

 全国代表陳情団が訪れたのは、総理府、自治省の政府機関をはじめ、衆議院、参議院の国会のほか、自由民主党、自由党、民主党、公明党、社会民主党、日本共産党の各政党と日韓議員連盟の十一カ所で、どの陳情先でも民団の強い要望に大いに理解を示した。

 総理官邸で辛容祥団長らに応対した野中広務官房長官(当時)は、地方参政権問題が韓日首脳会談で再三言及されていることを踏まえ、早期立法化に前向きな姿勢を示した。


◆共同で法案提出、自自公が合意

 民団が全組織を挙げて展開している永住韓国人への地方参政権獲得運動で、自由、民主、公明の3党は10月4日、3党連立政権の政治・政策課題協議で、「定住外国人地方参政権付与の法案」を3党で提案することで正式に合意した。連立与党で具体的に「付与」の合意がなされたことで、93年以来継続して展開してきた「地方参政権獲得運動」の結実へ大きな一歩となった。

 合意書の中では永住外国人地方参政権付与についても盛り込み、3党で議員提案し、成立させることを明示している。

 3党連立協議で合意したのは地方参政権付与に熱心な公明党の要求を自民側が受け入れた形だが、ここ数回にわたる協議で基本合意はされていたものの、自民党内での慎重論が根強く、調整が難航していた。

 しかし、連立のもう一方である自由党も小沢一郎党首が新進党党首時代に永住外国人への地方参政権付与を積極的に打ち出しており、かねてから容認の方向を示していたことから、合意となった。

韓国の水害に対し、全国の民団で開かれた
光復節行事で義援金募金が行われた


◆母国の水害に愛の義援金

 民団中央本部は8月9日、韓国全域を襲った集中豪雨で大きな被害が出ている問題で緊急常任委員会を開いた。

 水害被災に対して、一億ウオンの義援金募金を全国で展開することを決め、全国各地で開かれた「8・15光復節」の大会会場で広く募金を呼びかけるとともに、あらゆる機会を通じて在日同胞の同胞愛を組織を挙げて示した。

 8月15日、光復節式典の会場では早速手づくりの募金箱が設けられ、小さなオリニから一世のハラボジまで参加した同胞らは積極的に"愛の募金"を寄せた。

 7月27日から8月3日にかけて韓国全域を襲った集中豪雨では、(8月5日韓国の中央災害対策本部発表)死者40人、行方不明者24人、浸水家屋9647世帯、田畑浸水四万四千ヘクタールを超えており、同本部集計によると被災者は約8000世帯、約2万3000人に上った。

念願の公園内移設が実現した
韓国人慰霊碑前で行われた
慰霊祭(8月5日)


◆広島原爆韓国人慰霊碑が平和公園に移設

 広島市の平和記念公園(中区中島町)の対岸、本川橋西詰にあった「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」が、建立以来30年ぶりに公園内に移設された。

 これまで公園の外にあることから「差別の象徴」との批判が絶えないできたが、公園内への移設が実現したことで「平和のシンボル」「共生の象徴」としてイメージチェンジが図られることになった。

 公園内初の移設完工式は7月21日に行われ、8月5日には初の公園内慰霊祭が行われた。民団広島県本部関係者は、わずか数百メートルの距離を移動するのに29年間の歳月を要したことに感慨深げな表情を見せていた。

 慰霊祭には、遺族のほか、内外からの来賓も含め300人余りが参列した。民団広島県本部を代表して朴義鍾団長が「慰霊碑の移設を契機に、これからも平和の尊さと反核の願いを世界に発信していきたい。安心してお眠り下さい」とあいさつ。

 なお、慰霊碑には今年新たに死亡が確認された31人の同胞名簿が奉納された。

 同慰霊碑は、「公園の外にあるのは差別」と訴え続けてきた民団広島県本部関係者の長年の訴えを受け、市が公園内への受け入れを表明、今年7月に移設が実現した。

 公園内に移設された慰霊碑には、8月6日に、小渕恵三首相も訪れ、献花した。

5月11日、「在日韓国人後援会」の看板が
民団中央会館玄関に懸けられた


□■2002W杯成功へ準備作業進む■□

◆「在日韓国人後援会」が発足

 韓国と日本が共催するサッカーの2002年ワールドカップ(W杯)成功に向けた「在日韓国人後援会」(李煕健会長)の発足式が5月11日、全国地方団長と傘下団体長が見守る中で行われた。発足式後は韓国中央会館玄関前に「2002年W杯在日韓国人後援会」と書かれた看板が懸けられ、(1)10億円募金(2)韓日両開催都市への支援(3)オリニサッカー事業の推進(4)日本各地の文化行事でのアピールなど、韓日の架け橋的役割を趣旨にした後援活動がスタートした。

 後援会の会長には88年ソウル五輪でも「在日韓国人後援会」の会長を務めた李煕健氏(民団中央本部常任顧問、韓信協会長)が再び重責を担う。

 史上初の共催、21世紀初の大会、アジアで初めて、という三つの初要素を含んだ2002年W杯に対し、韓日の架け橋的役割を担う在日韓国人の立場から、募金、後援活動やボランティアなどを通じ、日本社会との共生・共栄へ前進していこうというのが、後援活動の目的。

 募金活動は2002年3月までの3年間、ソウル五輪同様、経済人募金と組織募金(一般募金)の二面性から展開していく。


◆エンブレムとマスコットも決定

 本番までちょうど3年となった5月31日、韓国と日本が共催するサッカーの2002年ワールドカップ(W杯)の公式エンブレムが、韓国組織委員会(KOWOC)、日本組織委員会(JAWOC)、国際サッカー連盟(FIFA)組織委員会から同時に発表された。また、12月1日には、マスコットの「アトモ」も発表された。

 エンブレムのデザインは、地球とサッカーボールをイメージした「円」が基調。中央にはワールドカップトロフィーをモチーフに取り入れている。赤、黄、緑などバラエティーに富んだ色使いはアジアのイメージと参加チームの多彩な顔触れを表現している。

 マスコットは「アトモ」と呼ばれる架空の小さな生き物で、明るい色の立体的な三つのキャラクター。子どもたちに人気が出ることを狙って、アニメやゲームソフトへの転用も視野に入れている。

 また、12月7日には、初の公式行事として大陸別予選抽選会が東京国際フォーラムで行われた。



2002W杯のエンブレムとマスコットの「アトモ」。
12月7日には初の公式行事、大陸別予選抽選会も行われた



韓国籍をはじめ朝鮮籍、
日本籍同胞もエントリーしたミスコリア・
在日同胞選抜大会(4月16日)


◆在日同胞1の美女を選ぶ

 在日同胞一の美女を決める、ミスコリア・日本代表選抜大会(主催=民団中央本部、韓国日報東京支社)が4月16日、東京港区のヤクルトホールで開かれ、1位の「真」に東京渋谷区の姜雅美さん(22)が選ばれた。また、2位「善」はソウル大に母国修学中の呉知宣さん(21・東京都新宿区)、3位「美」には女子大生の金亜瑛さん(19・東京都八王子市)が選ばれた。3人は5月23日にソウルの世宗文化会館で開かれる、「ミスコリア選抜大会」の本選に出場した。

 コンテストには書類審査で選ばれた27人が出場。ほとんどが日本生まれの在日3世だが、留学生2人のほか、「朝鮮籍」も2人が出場した。

 「真」に選ばれた姜雅美さんは父が日本人、母が韓国人の日本籍だが、中学生時代に韓国留学し韓国語もしっかりとマスター。歌うことが大好きで「韓国と日本の架け橋になり、将来は歌手になりたい」と話していた。

 また、「善」の呉知宣さんは現在、ソウル大に修学中。将来は学校の先生になることが希望だという。「美」の金亜瑛さんは「朝鮮籍」。「在日同胞として政治と思想を超えたすばらしいコンテストに参加でき光栄。ぜひ韓国の姿を見てきたい」と話していた。

外国人学校としては初めて高野連に加盟し、
甲子園大会・京都府予選に
臨む京都韓学ナイン(7月16日)


◆京都韓学が高野連に加盟

 今年5月に外国人学校として初めて日本高校野球連盟の硬式野球に京都韓国学園(王清一理事長)の野球部が加盟した。

 公式デビュー戦は7月16日、舞鶴球場で行われた第81回全国高校野球選手権大会の京都大会。1回戦で、昨夏の甲子園大会準優勝の京都成章と対戦した。相手は強豪とあって0-34(5回コールドゲーム)で敗れた。

 しかし、全力を尽くした選手たちは「ヒットも出たし、アウトもとれた」と晴れやかな表情。金健博監督やナインらは「本当の挑戦はこれから。練習を重ね、競い合えるチームづくりを」と早くも秋季大会に向け意気込みを見せていた。

 スタンドにはバス3台で乗り込んだ在校生や後援会の同胞ら200余人が熱い声援を送り、歴史的な初試合の感動を味わった。

ブラジル戦で歴史的な決勝ゴールを決め、
ヒーローとなった金度勲選手


◆韓国サッカー、世界最強のブラジルを破る

 韓国とブラジルの国家代表によるサッカーの親善試合が3月28日、ソウルの蚕室メーン競技場で行われ、韓国は試合終了間際、金度勲(元ヴィッセル神戸)が値千金の決勝ゴールを決め1-0と世界ランキング1位を破る大金星を射止めた。韓国は過去35年間、ブラジル国家代表と三度対戦したがすべて敗戦。四度目で初の勝利。

 ブラジルは、リバウド(FCバルセロナ)、セリエA最高のリベロ、カフー(ASローマ)等、豪華メンバーをそろえての布陣。前半は両チームとも決定的なチャンスを作れず、0−0のまま終了。

 後半10分過ぎからは両チームとも速攻を繰り広げ、一進一退の攻防が繰り返された。後半12分、20分とブラジルの決定的なシュートをGK金秉址がファインセーブし失点を防いだ。

 韓国も再三、徐正源、黄善洪が決定的な場面を作ったが、得点には至らなかった。後半39分から交代で入った金度勲、尹晶煥を中心に韓国が波状攻撃を仕掛けた。

 だれもが引き分けと思われた後半45分、洪明甫が崔成勇につなぎ、最後は金度勲が強烈なシュートをゴールに突き刺した。

 この直後に試合終了。スタンドをぎっしり埋めつくした6万8000余人の大観衆は一斉に立ち上がって歓声をこだまさせた。

(1999.12.22 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ