| 昔田植えが終わったばかりの農村の水田では、暗闇の中でよく男達のどなり合う声があっちこっちで聞えたものだ。時には水に投げ飛ばされる音や、男達が取っ組み合う姿も見られた。これは、よくある他人の水田の水をこっそり自分の田に引いたが為に怒る水喧嘩である。
人工的水利施設の少なかった昔の農村では、降雨以外に頼る術はなく、日照りが長く続く時は、それこそ一滴の水は一滴の血に値するものであった。
川水を堰き止めて共同で水を分配する時、水路が別にない場合は高いところに位置する水田を通して下方に順繰りに水を送らねばならず、水田の持ち主が異なる場合はいつも送水の量が喧嘩の種になる。
長い柄の鍬やスコップを肩に、農夫達は自分の水田の水を守るため夜を明かして畦道を歩き回るのだ。負けても勝っても泥だらけになるこの水喧嘩は、大抵はお互いに深い根を持つことはなく、翌日は笑いあって手を握るのであった。
画・文
木丁・金龍煥
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