| 日本のお化けと異なり、トケビはもっと人間的で親しみの持てるお化けである。韓国開国始祖檀君の父親である桓雄天王について地上に下りたトケビは、うす暗い洞窟に居を定め、地上活動を始めた。そこには天に昇りそこなった人間の精霊がうようよしていたので、トケビは人間が使用していた箒や臼にとりついて、姿を変え夜陰に乗じて陰惨な竹林や人家に現れて、いろいろイタズラをした。
台所に入っては窯ぶたを逆さに閉めたり、旅人に「葉銭」を升に10杯もくれたのが皆牛の糞だったり、真夜中に相撲を取った相手が、翌日見ると血の付いた箒だったりした。とにかくトケビは、日本の鬼やお化けと違って酒と歌と踊りを好み、生まれつきの好奇心と健忘症、ややビッコの左足のため、いつも人間にひどい目にあいながらも懲りずに人間と付き合い、我々に「モッ」(風雅)を与えてくれる友人でもある。
これを書きながら思い出したのは、私の少年時にトケビブル(鬼火)を見たことだ。夏の夜、生家の前方にある山壁の多い裾野を、青い火の玉が一直線に横切ったのを見たことがあるが、老人達はヘッチェンイブル(鬼火の方言)といった。だが、これは結局人間や動物の骨から出る燐光であることが後でわかった。
画・文
木丁・金龍煥
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