【大阪】在日韓国・朝鮮人排斥を掲げる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)から差別的な発言を受けたとして、在特会と桜井誠元会長に550万円の損害賠償を求めた控訴審判決が19日、大阪高裁であった。池田光宏裁判長は在特会側に77万円(慰謝料70万円と弁護士費用7万円の合計)の賠償を命じた大阪地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。
在日女性への侮蔑発言 池田裁判長は判決で、桜井元会長らが原告に対して行った一連の名誉毀損および侮辱行為を「原告が女性であることに着目して容姿などをおとしめる表現を用いている」と指摘し、1審が認めた人種差別に女性差別が加わった「複合差別」にあたると追加認定した。
原告側の上瀧浩子弁護士によれば、複数の差別が結びつく「複合差別」を認めた判決はこれが初。「画期的だ」と歓迎した。
控訴の理由の一つとして女性差別の認定を求めていた原告の李信恵さんは「差別のない未来を子どもたちに残すため、これからも小さな勝ちを積み重ねていきたい」と喜びを語った。
桜井元会長はインターネット上において原告を名指しで「立てば大根、座ればどてかぼちゃ、歩く姿はドクダミ草」「朝鮮人のババア」などとその容姿や人格をおとしめる表現を用いた。
ジャーナリストの安田浩一さんと対レイシスト行動集団CRACを主宰する野間易通さんは「のりこえねっと」の動画配信サイト「NO HATE TV」に出演し、次のように語った。
「女性、障害者、マイノリティーという社会的に発言の回路を持たない弱者をたたくのが日本のレイシズムの重要なポイントだ。たとえば、生活保護受給者がなにか言うとよけいたたかれるように。こうしたことが複合的差別をつくりだしている。人種差別ばかりか女性差別にも言及した意義は大きい」
一方、損害賠償額77万円については2人とも「安すぎ。弁護士費用を考えれば、持ち出しになるのでは」と疑問を投げかけた。
上瀧弁護士も自らのツィッター上で次のようにつぶやいた。「人種差別撤廃条約は人種差別からの損害に対し、公正かつ適切な賠償を当該裁判所に求める権利を確保するとしている。さらに女性差別撤廃条約も裁判所に効果的な保護を求めている。損害賠償77万円は『適切』『効果的』からはほど遠い」。
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<寄稿>地裁判決から前進、多くの支援者に感謝
原告の李信恵さん この控訴審に至るまでには在日韓国・朝鮮人だけではなく、多くの日本人の方々にも支援していただきました。判決後の支援者集会にはみなさんにメッセージを書いていただいたチマ、和服の帯で作ってもらったチョゴリで向かいました。この日本で、みんながつながることが、差別をなくす社会への第一歩であるという思いを込めたチマ・チョゴリです。 Поставщик Электровек сталь предлагает приобрести
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そんなみんなの思いに包まれて勝訴することができ、本当にうれしいです。
控訴審では在特会らの行為が、一審が認めた在日朝鮮人への民族差別に、女性差別も加わった「複合差別」にあたると認定されました。今回の控訴審判決は地裁判決よりもさらに踏み込んだ結果となりました。
この間、2016年1月15日には大阪市議会がヘイトスピーチ抑止条例案を可決。5月24日に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が衆参両院の議決を経て成立し、6月3日には同法が施行されました。今年に入って6月16日には川崎市が公園など公的施設でのヘイトスピーチを事前に規制するガイドライン案を明らかにしました。
毎週のようにヘイトデモやヘイト街宣が行われていたころを思うと、今のこの状況は本当に夢のようです。
7月22日には保守速報との裁判で本人陳述があります。対在特会らの裁判の判決では、「インターネット上の差別による拡散性」については触れられていなかったことが残念でした。保守速報の裁判では、そのことについてもしっかりとした判決が出るようにと願っています。
在日のみならずLGBTや被差別部落、障碍者、沖縄やアイヌなど、この社会にはマイノリティーへの差別がまだまだ存在しています。あらゆる人間の尊厳が踏みにじられることのない社会を子どもたちに残せるように、微力ではありますがもうひとがんばりしようと思っています。みんなも一緒にがんばりましょう。
(2017.6.28 民団新聞)