掲載日 : [2017-07-12] 照会数 : 6708
日本初公開4作を上映…ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク
[ 空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜C2015Megaboxplusm Lus y Sonidos. ALL RIGHT RESERVED ] [ あの人に逢えるまで C2014 Big Picture ]
硬派なテーマ…魅力的な俳優、確かな演出力
尹東柱・南北離散家族・高齢化社会・少数者達
韓国映画の新作・日本初公開作を上映する「ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク」(配給=スプリングハズカム、レスペ)が22日から東京のシネマート新宿、29日から大阪のシネマート心斎橋ほか全国で順次公開される。
「人と人をつなぐ」「心と心をつなぐ」という強いメッセージを持った作品をセレクトした上映会として企画された。どの作品も複雑な社会問題を含んだ硬派な題材を、人間味豊かな映画に昇華させいる。魅力的な俳優たちと確かな演出力を堪能できる。
「王の男」「ソウォン/願い」など、大ヒットメーカーとして知られるイ・ジュニク監督の「空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜」は、今年、生誕100周年となる韓国の国民的詩人、尹東柱の生涯を美しい詩とモノクロ映像で丁寧に描いた初の映画。
日帝植民地時代に朝鮮語で詩を書いたことから治安維持法違反の疑いで逮捕され、福岡刑務所で27歳で獄死した尹東柱の人生を真摯に描いた作品。出演はカン・ハヌル、パク・チョンミン。
「シュリ」や「ブラザーフッド」で、分断国家の悲劇を世界に知らしめたカン・ジェギュ監督の「あの人に逢えるまで」は、韓国戦争などで生き別れとなった離散家族をテーマに描いた短編ラブストーリー。
離散家族の再会事業は、北韓の核実験などによる南北関係の悪化により、2015年10月を最後に中断している。再会を果たせない家族たちの高齢化などの問題も突き付ける。出演はムン・チェウォン、コ・ス。
ペ・ヨンジュン主演「スキャンダル」のイ・ジェヨン監督が手がけた「バッカス・レディ」は、韓国戦争によって人生が大きく変わってしまった60代の売春婦を通じて見つめる高齢化社会の人情悲喜劇。
高齢者向けの売春婦ソヨンを演じるのは、韓国の国民的女優ユン・ヨジョン。ソヨンは、生きるのが辛いと告白する客の哀願を聞き、同情を寄せ、いつしか、上手に死なせてあげる方法を思いつく。性や貧困、孤独、格差など、老人が直面しているさまざまな問題を描き出す。
数々の国際映画祭で受賞歴を持つ中国出身のチャン・リュル監督が、新鋭ハン・イェリと、映画監督として活躍するヤン・イクチュン、ユン・ジョンビン、パク・ジョンボムを役者に迎えて描く「春の夢」は、社会の少数者たちが集まって、共存していく姿を描く青春映画。
スプリングハズカム代表の李愛淑さんは「韓国がおかれている状況だかこそ、こういう監督たちが生まれるし、常にこのような題材を映画にしようというふうに考える情熱は尊敬する。どれを観ても遜色はない」と話す。
チケット一般1800円、大学生1500円ほか。詳細は公式サイト(http://www.koreanfilmweek.com/)。
(2017.7.12 民団新聞)