掲載日 : [2021-04-28] 照会数 : 5995
東京韓学土曜学校の修了生1万人突破…教職員が使命感で下支え
[ 根強い人気を誇る「成人クラス」は4班編成61人が学ぶ ]
最多760人が受講
東京韓国学校附設「土曜学校」の修了生が1993年の開設以来、1万人を突破した。同校「土曜学校」は都内の在日韓国人を対象とした民族教育の中心的な役割を果たしている。幼稚クラスでは毎年200人を超える幼児たちが学び、就学年齢に達すると、その大半は同校に進学する。進学に間に合わなかった児童も1、2年で編入学をめざすという。
00年までの受講生は年間100人ほどの児童にとどまっていた。その後、10年ぐらいまで年間300人ほどの微増にとどまっていたが、初等部で全面的に運営するようになった10年以降から急速に受講生が増え、毎年600~700人規模に拡大。一時は760人と初等部の当時の在籍児童数720人を上回る時期もあった。
開講当初は無料で運営してきたが、修了時までに出席率が落ちることが問題に。協議の結果、年間1万円の教材費を徴収するようになった。その結果、欠席率は減少し、無料受講時よりも登録する受講生の数は増加した。
併設の「成人クラス」は遠くから児童と一緒に登校してきた保護者たちに「学びの場」をと、「教養クラス」を01年に1教室開講したのが始まり。これが予想外に人気を集め、毎回140人以上参加するほどに。「中国語」、「K‐POP」とさまざまなクラスを開設してきた。だが、本来の幼稚クラスを凌駕していく勢いを見せたため、10年から縮小運営に。現在は「韓国語」と「陶芸」の2つの教室だけになった。
開設当初は民族系学校に通えない在日同胞の児童にウリマル教育を行うのが主な目的だった。当時は中・高校の教師らも指導にあたった。土曜日も授業があるなか、担当教師には心身ともに加重な負担を強いた。
ある教師は「韓国語を学ぶために遠方から2、3時間かけて駆け付けてくる受講生のことを思うと自然と力が入り、熱心に教えざるをえなかった」と述懐している。当時から多くの教師がやりがいを感じていたようだ。
現在は小学校の教員免許を持つ初等部教師が講師を担う。放課後、年間20回80時間程度の授業はボランティア精神と使命感のたまものだ。いまは在外同胞財団からの支援で交通費程度を受給しているが、その金額はわずかでしかない。
運営責任者の李勲雨初等部教頭は「土曜学校」に深い愛情を感じていると話す。運営方案については長年、試行錯誤と研究を積み重ねてきた。
これまでには「土曜学校」の児童120人を引率して韓国の京仁教育大学で10泊11日の「ハングルキャンプ」を実施したことも。なかでも脱北者の子弟と「土曜学校」の児童を対象とした5日間の「ハングルキャンプ」は在外同胞財団から高い評価を受け、「最優秀行事」に選定された。
これらの研究成果は夏の在日韓国人教育者大会などで発表。全国の民団支部で運営する土曜学校にも大きな影響を与えてきた。
(2021.04.28 民団新聞)