掲載日 : [2017-07-05] 照会数 : 17037
<臨時中央委員会>副団長辞任し決議文採択
[ 報道陣も多数おしかけ耳目を集めた臨時中央委員会=6月24日 ]
民団の混乱回避へ 「5・17声明は白紙状態」…副団長辞任し決議文採択
民団中央は6月24日、東京・港区の韓国中央会館で第60回臨時中央委員会を開き、5・17の共同声明に関する事項の不十分と言われた説明責任を果たし、これ以上組織混乱をもたらさない方向で収拾、今後の日常活動を機能させる道を取ることとなった。
金廣昇議長は中央委員の了解を得て受付時の出席確認によるものとし、在籍199人中171人で成立したと発表した。来賓として洪采植韓信協会長、李求弘海外僑胞問題研究所長が出席。
議長は「5・17をめぐって団員に迷惑や組織の混乱を引き起こし、共生社会への信頼を揺るがしたことに3機関の1人としてお詫びする。組織安定のため各種会議を開いた後、今日の臨時中央委員会に至った。一連の総括をし、方向性を決め、会議の円満な進行に協力を願う」とあいさつした。
河丙鈺団長は「中央委員の皆様の熱のある論議を願う。5・17に関してもっと広く理解を得てやるべきであった点、皆様に謝罪する。1991年千葉での「世界卓球大会」で民団は南北共同チームを共同で応援したが、このときの体験が私の信念となった。中央委員会の開催は私の要請である。皆様の意見を参考にし、反省するためこの席を設けた」と理解を求めた。
金昌植監察委員長は「我々は困難な局面にある。秩序の回復が必要である。北韓には課題が山積しており、友好の時ではない。中央委員の処分については規約上中央委員会の承認がいることを理解してもらいたい。中央委員会で新しい方向づけができることを願う」と呼びかけた。
顧問を代表して朴炳憲常任顧問が「支持を受けた団長はどこかの派閥ではなく全体を代表するものだ。朝鮮総連との話し合いは私も要請したことがあるが、条件と内容が問題だ」と指摘した。
5・17会談に関して徐元組織局長が報告書をもとに意義や概要、調整事項、総括、課題、誤った報道事項などを説明した。6・15共同行事および責任所在と事後処理に関しては鄭夢周事務総長が説明報告し、河団長が一部補った。
監察機関報告は呉龍浩監察委員が行い、5・17代表会談と6・15民族祝祭の対処過程で指摘された課題として、①手続き上適切であったか②時間的な課題③事前事後対策の不十分さ④マスコミ対策−−などを指摘し、その間の協議改善点を示した。
質疑応答の中で「監察機関が指摘した中央委員とは誰か」に対して、監察委員長は、対象者は姜英之前企画室長、金東一平統推進委員長、金淳次副団長の3人であることを明らかにした。
■□ 《主な質疑内容》
丁海遊愛知委員 「民団は規約に基づいて運営されている。5・17声明は水面下で交渉し妨害を避けるなどの表現で相手の事情に合わせすぎる。この声明を無効にすべきだ」
尹隆道神奈川議長 「和解と和合には誰も反対しない。くどいくらい和解と和合をいうが和解と和合に反対してきたのはどっちか。総連が性格を変えたという証拠はあるのか」
金太河福島団長 「朝銀に3年ほど勤務し総連組織に見切りをつけた。脱北者支援民団センターは誰がやっているのか。ホームページはいつ消したか。最終的には団長が責任を取るべきだ」
李相福山口団長 「もうそろそろ代表団の話は終わりにしよう」
徐元喆組織局長 「5・17のときの窓口が複数で混乱していたのは事実。手落ちはお詫びする。総連の性格は変わっていない。脱北者、核、拉致について人道的にやるべきと提議している。総連は変わっていないが21世紀のスタンスとして理解してほしい。企画室長がホームページを閉じた」
尹神奈川議長 「中央は民団を守ると言うが、総連、韓統連は民団を乗っ取ろうと40年来考えて来た。朝総連、韓統連が解散し民団に浸透することを心配している」
姜裕正愛知事務局長 「統一ニュースのホームページ73㌻について聞きたい」
鄭夢周事務総長 「韓統連の用語を使わないようにしている。73㌻は修正されたもので、提議書文面には最初韓統連が入っていたが、直して韓統連の名称を削除したものを地域委員会に持って行ったはずだ。修正したものを民団新聞に訂正して載せた。脱北者支援民団センターは再開しており、より大きな仕組みにしていき、日本政府にも支援を訴えていく」
河丙鈺団長 「5人の副団長の出所進退は私に任されている」
金昭夫副団長 「5人の副団長は出所進退を団長に預けている。私は同胞社会が豊かになれるように願って来た。組織もそうあるべきだ。組織が混乱する事態になった以上責任は団長にお任せする」
李鐘海新潟団長 「団長の責任はどうか」
辛容祥常任顧問 「団長はなぜ責任を明言しないのか、団長に返事させよう」 河団長「副団長の一身上のことは自分が預かっている。新しい人をどうするか、それは相談してやる」
李新潟団長 「文書を配布させてほしい」
金議長 「監察委員会の処分の提案をとりあげる」
金監察委員 「4・24提議書に関連して中央委員の処分については中央委員会の承認をえなければならないので提案する」
李新潟団長 「緊急動議」
林副議長 「規約によれば中央委員会は大会開催を決められるが不信任は決められない」
徐海錫愛知副団長 「運営規定第7条に一般動議は3人以上、不信任案等の重要な動議は、出席者の10分の1以上の賛同をえなければならないとある」
林副議長 「緊急動議はとりあげても議事進行動議だけだ。不信任案は大会でないと採決がとれない」
金監察委員 「姜英之、金東一、金淳次3人について処分を考えたい」
洪純一委員 「民主的に選ばれた執行部だ。反省すべきものも反省している。来年2月まで様子をみてはどうか」
朴安淳体育会会長 「5・17をどうするのか、それが大事じゃないか」
金淳次副団長 「民団中央大会、中央委員会の意思を継承し使命をもって取り組んだ。6・15は金大中前大統領が就任後の2000年の南北和解以後、国内と海外で和解と和合を一貫して継続してきたものだ。2月の河団長は民団改革、総連との和合を公約に掲げそれを実行した。6・15は去年も参観団が参加している。なぜ去年できて今年できないのか」
呉監察委員 「白紙委任したわけではない、規約に基づいている。組織の手順にもとづいてやったか。団長にも通告、組織混乱の責任を問うた」
河団長 「6・15に今年は参加しないと何度も言っている。民団が主導的で主体的に参加できる条件がなければ参加できない。5人の副団長は辞任の方向を取らせる。過去は知らない。新しい人を入れて新しくすればよい。常任顧問と相談した」
金淳次副団長 「4・24は6・15記念事業にもとづく日本委員会に行ったのである」
金昭夫副団長 「副団長5人の連帯責任であり、5人辞任するのに金淳次氏をさらに処分するのは配慮してほしい」
呉監察委員 「監察委員会に一任してほしい」
金泰勲北海道団長 「5・17はどうなっているのか」
朴体育会会長 「5・17の総括をすべきだ」
河団長 「5・17共同声明をどう評価するかが出たが、それは新しい執行部を構成して委任してほしい」
金議長 「反対の人は挙手を。少数なので一任された」
呉公太長野団長 「団長は責任をとって辞めるべきだ」
金議長 「8・15の共同行事はやらないことにした」
河団長 「民団を正常化させよう」
丁海遊委員 「もっと規約にもとづいてやるべきだ」
金議長 「民団の発展について冷静に話そう」
呉英義大分団長 「5・17を聞いて喜んだのはつかの間で地方では時が経つほど民団の評価が下がった。それをやって日本社会と民団社会にどう説明するのか」
崔鐘太韓商連会長 「緊急理事会を開いて満場一致で決めた。5・17に関与した者全員に責任を取ってもらいたい。白紙撤回し、中央大会の開催を求める。朝総連は破防法適用団体でこれは非常に恐ろしい。韓信協の預金の40%以上は日本人のものだ。本国も大事だが我々の権益擁護も図ってほしい。5人は何か責任あるのか。もう一回大会をやるべきだ」
梁政弘大阪委員 「総連との和合はこれを否定すると、中央委員会の責任はどうなるのか。手順を踏まなかった点が問われている。日本のマスコミが拉致問題にからめて報道して我々に損失を与えた。鮮明にするため①民団の主体性をもって和合する②拉致は解決していく③脱北者は支援する④参政権運動を推進する、ということを日本のマスコミに発信して共生社会をめざす」
夫順末婦人会長 「韓商連会長の提案を投票で決めてほしい」
康孔鮮青年会長 「わかりやすい採決をねがう」
洪純一委員 「5・17声明を白紙撤回とは何故か、民団組織の信用は一体どうなるのか」
姜日錫奈良団長 「もっと冷静になろう、総辞職や白紙撤回は組織の崩壊を招く。任期いっぱいやらせるべきだ」
姜東俊福岡副団長 「民団は60年の歴史のある生活者団体だ。組織原則に則ってやろう」
金次郎石川団長 「地方で参政権の要望のため日本のある人に会いに行ったが断られた。3時間もかかるところで1日粘った。中央は知らないだろうが我々は苦労している」
卞利長愛知監察委員長 「5・17を白紙撤回せよ」
金議長 「6・15も行かず8・15も共同で行わないので実質的に白紙状態だ」
朴常任顧問 「5・17声明について、事実上死文化している。議長の宣言を明確化して進めるべきである。団長は5人のうちだれそれは残して残りは一任するとか、副議長は議長をもっと支えなければいけない」
金議長 「5・17は死文化して白紙状態にあるとする」
河団長 「5・17の6項目のうちの2点、つまり6・15と8・15は行わないので、5・17は白紙状態になったようなものだ。副団長5人の辞表は任せてもらいたい。民団を分裂させてはいけない」
金議長 「拉致、テポドンに対する提議書を採択しよう」
辛常任顧問 「中央委員会の決議文にすべきだ」
河団長 「それでは中央委員会の名前で文章もすりあわせるので採択を願う」
決議文を採択した後、洪正一副議長の閉会の辞で閉会となった。
■□ 議決事項
①5・17共同声明に関して今年は6・15共同行事参加および8・15共同記念祝祭を実質的にできなくなったので、5・17共同声明は白紙になったのと変わらない状態にある。
②中央副団長辞任に関して3人の副団長の辞任を受け入れて辞任させる。
③中央委員処分問題に関して3人の中央委員に対する処分問題に関しては監察機関に一任する。
④決議文採択に関して提議書を決議文形態に修正して中央委員会名義で採択する。
(2006.7.5 民団新聞)