掲載日 : [2017-02-08] 照会数 : 6667
<兵庫県>外国籍初の弁護士会長…白承豪氏が就任へ
[ 白承豪弁護士 ]
無投票で選出
4月1日から
【兵庫】兵庫県弁護士会(米田耕士会長、神戸市中央区)の次期会長に韓国籍の白承豪弁護士(54、ハク・ショウゴウ、神戸セジョン外国法共同事業法律事務所=神戸市中央区)が内定した。同弁護士会の会長に外国籍者が就任するのは初めて。日本全国の単位弁護士会でも例がないと見られている。任期は4月1日から1年間。
会長選には白弁護士が単独立候補。対立候補が現れず1月23日、無投票で選出された。弁護士会の会長は弁護士法に基づく特別職公務員に準じた立場にあり、立場としては裁判所の所長・検察庁の検事正と同等。日弁連では理事になる。
会長選に出馬をという話は2〜3年前からあった。ただし、白さん自身に選挙までして会長になるという意欲はなく、辞退してきた。今回ばかりは周囲の強力な勧めがあり、立候補への決意を固めたという。
まずは、弁護士会が抱えている弁護士人口増問題、就職難問題、弁護士不祥事問題を優先して解決できるようにしたいと話す。なにより弁護士会で取り組んでいるヘイトスピーチ問題や外国籍弁護士の調停委員拒否問題についてはこれまで以上に積極的に取り組む。
白さんは「私に対する評価が下がると、在日の後輩弁護士にかえって悪影響を及ぼしかねない。大過なく任務をこなすのがいちばんの義務であり、改革の突破口になると思っている」と言葉少なめながら静かな闘志を燃やしている。
ソウル市生まれの在日1世。1974年、沖縄の建設会社に勤務していた父親の仕事で家族と一緒に渡日した。当時12歳。ソウル市内の国民学校を卒業したばかりだった。「同級生や先生がなにを言っているのかまったく理解できない」というハンデをひといちばいの努力で克服。中学入学当時は500人中497番だった成績も、卒業時には学年で50番にまで盛り返した。
琉球大学には現役で合格した。在学中から弁護士を志して司法試験に挑戦。漢字をよく理解できないため、基本書を読むために漢和辞典を開き、漢和辞典にも出てこない法律用語を探すために法律辞典を開く作業を繰り返した。司法試験でも短答試験はともかく、論文試験に苦労したという。
93年に大阪弁護士会に弁護士登録。95年に阪神淡路大震災が発生するや、民団兵庫本部が神戸市長田区で始めた無料法律相談で被災者の救済にあたった。96年からは神戸弁護士会(現・兵庫県弁護士会)に登録替え。副会長や人権擁護委員会の委員長を歴任してきた。
周囲の評判を聞くと、「おおらかでいながら意外と繊細、よく気がつく。多面性がある。人間として好きだという人は意外と多い」という。
韓国国内の弁護士や公認会計士などの専門職とは太いパイプがあり、韓国と日本にまたがる訴訟を得意としている。12年度には在日コリアン弁護士協会(LAZAK)代表を務めた。
(2017.2.8 民団新聞)