掲載日 : [2016-08-24] 照会数 : 5287
心に刻む関東大震災の記憶…「日韓合同授業研究会」
[ 授業報告に耳を傾ける韓日両国の参加者(潮来市) ]
現場での実践持ち寄り討論
【茨城】韓日両国の現役教師がそれぞれの授業実践を持ち寄り、交流する第22回日韓合同授業研究会潮来交流会が1日まで3日間、開かれた。
今年の交流テーマは「記憶されない歴史は繰り返される〜関東大震災から」。合わせて3本の授業報告と2本の特別報告があり、韓国から訪日した教師、学生、市民とともに討論を行った。
慶州甘浦初等学校の教師は、1年生が関東大震災(1923年)という歴史的事実を理解できるよう、1年1組19人のクラスに言葉も身なりも違う他国から5人の子どもたちが転向してきたらどうするかという寓話に置き換えた。1年1組の生徒が日本人で、転校生が日本にやってきた朝鮮人の設定。先生は日本政府という役割だ。
授業で子どもたちは我が身に置き換え、違うものに対する本能的な拒否感を示した。ある日、何者かに椅子が壊される事件が起きると、子どもたちの間で見知らぬ転校生の仕業という噂話が流れる。すると、噂を信じた子どもたちが転校生をいじめる。子どもたちは授業で、椅子が壊されたことが事実かどうかより誰がやったのかに大きな関心を示した。
子どもたちは最後まで傍観者的な態度を示した先生に一種の憤りすら見せた。誤った考えを変えるということがどれほど大変なのかがうかがい知れる。
授業の狙いは朝鮮人虐殺という事態が二度と起こらぬよう考え、行動する力を育むこと。教師は「逆の立場だったどうするのか」を考えさせようと、2時限目にある絵本を読み聞かせた。すると、3時限目の授業で1年1組の子どもたちは和解と仲裁に大きく舵を切り、「大事なのは転校生への謝罪。受け入れてくれるまでは謝罪を続ける」と、教師も思っていなかった反応を示した。
授業を終えた子どもたちは、「しっかり考える機会となった。これからどんな友だちとも一緒に遊ぶ」と感想をしたためた。
(2016.8.24 民団新聞)