掲載日 : [2016-10-26] 照会数 : 10786
<創団70周年記念式典>未来創造メッセージ
本日、70年の星霜を重ねた民団は栄光の歴史と伝統を糧とし、新たな時代、新たな歴史創造の道に踏み出すことをここに明らかにします。
先人たちは長きにわたった植民地支配から解放を迎え、廃墟のただ中にあって1946年10月3日「在日本朝鮮居留民団」を創立、48年大韓民国政府樹立を機に名称を「在日本大韓民国居留民団」としました。
当時の朝連・朝鮮総連の圧倒的かつ暴力的な攻勢に対峙しつつ、民団は今日の組織基盤を築き上げてきました。
この間、在日同胞社会の構成は明らかにその国籍、在留資格、世代などの属性と価値観が多様化してきました。この変化に対応し「居留」を外して「在日本大韓民国民団」と改称、団員資格の国籍条項を一部緩和、先の第7次宣言文では多様化する同胞の統合推進を宣言するなど、その時々の条件、状況を的確に判断し、変革を遂げてきました。
今日、在日同胞社会は韓国籍者、新定住者、〞朝鮮〟から韓国籍への変更者、日本国籍者、複数国籍者など、その構成が益々多様化しています。
在日同胞の唯一の指導母体である民団は、多様化した在日同胞の統合を果たし、自ら掲げる宣言綱領の実現に向けて、以下の状況、課題に緊急かつ具体的な対応が求められています。
1, 南北の平和統一実現は韓半島の発展と同時に、東アジア、世界に平和と繁栄をもたらし、在日同胞社会にはその存続と発展の礎となり、大きな恩恵をもたらします。北韓の暴挙が続く韓半島の危機的状況を目の当たりにするにつけ、速やかな南北の統一実現に向けて全力を尽くすのは我々の責務であります。
2, 日本社会は多民族多文化社会へ移行しつつあり、在日同胞はこれまでその推進の一翼を担ってきました。ヘイトスピーチの暴力に見られるように差別的土壌が温存される日本社会において、引き続きその役割を担い、民団の存在感を高めなければなりません。一方においては、多様化、分散化した在日同胞が、日本社会の中で孤立し、不可視的な存在となっています。この状況は経済停滞、少子高齢化、貧富格差問題等とあいまってさらに深刻化しています。民団は苦しむ在日同胞の防壁とならなければなりません。
3, 停滞する経済状況にあって、その影響を直接受けているのは在日同胞であり、経済的安定は深刻な要請です。特に次世代にとってはより深刻であり、民団がこの課題に応えられなければ信頼を得ることはできません。民団は自らの健全財政確立のためにも経済活動に大きく方向転換を図らなければなりません。
4, 韓日関係の悪化が在日同胞に直接の打撃を与えることは、近年の経験からも実感するところです。民団はこの間、民間外交の担い手として韓日関係の強化に尽力し、大きな貢献を為したと自負するものです。友好関係の持続、拡大強化にはさらなる努力の継続が必要であることは言うまでもありません。
5, 多様化・分散している在日同胞が、民族的同一性を自己確認するにおいては民族教育の徹底化が極めて重要です。民族教育の体系的で持続的な体制を構築しなければなりません。加えて韓国籍の保持は重要な柱であり、この選択・維持のより可能な条件作りが重要です。地方選挙権など国籍による不平等の是正、複数国籍の可能性追求などに積極的に取り組んでいかなければなりません。民族性の風化は民団組織の弱体化にも直結することを肝に銘じ、一層真剣な取り組みが必要です。
これらの重大な課題を滞りなく完遂するために、民団は新たなる体制と決意を持って臨まなければなりません。
多様な属性と価値観を有するすべての在日同胞を包容するため、構成原理を韓国籍のみに依拠することなく、民族的出自を基本としたより開放的なものに変えることです。そして在日同胞の総結集を実現し、新たな地平を切り開いていくのです。
民団は在日同胞の統合を果たして多くの問題を解決し、本国への貢献、居住する日本、地域社会の発展に参与し、韓日関係友好の懸け橋となり、そして南北平和統一実現の一翼を担っていきます。
こうした変革を果たしてこそ、民団は次世代によって継承され、新たな時代を切り開き、新たな歴史を積み重ねていくことができるでしょう。
以上のことを具現するために必要な措置を可及的速やかに講じることを結びとし、未来創造へのメッセージとするものです。
(2016.10.26 民団新聞)