掲載日 : [2016-07-27] 照会数 : 4529
<読書>日韓が共有する近未来へ…海峡越えてなくす国境
九州大学と釜山大学の学生50人ずつ、計100人が2週間にわたり、互いのキャンパスを行き来しながら「東アジアの共通課題」を学ぶ。2011年に始まった韓日共同教育プログラム「日韓海峡圏カレッジ」は、14年度から4大学を加え、6大学140人の韓日学生による「アジア太平洋カレッジ」へと発展した。 互いの違いを尊重し、楽しむ学生たちの柔軟さは、両国メディアの報道を鵜呑みにせず、直接現地で相手国を実体験する「気づき学習」の教育効果をもたらした。「両国の未来は、韓日『海峡人』の手にかかっていると言っても過言ではない」と当プログラム担当者は手ごたえを語る。
本書はこれまでの成果と今後の課題を「学生交流」と「人材育成」の視点からまとめた。7人の両国の学者らの論文と、14人の学生が体験談を寄せている。
釜山の朝鮮通信使歴史館を訪問した九州大生は、「関係改善には、共通利益と懸け橋になる人物の二つの要素が同時に存在することが必須条件」と悟り、今も釜山大生と交流を続けている。初の外国訪問が日本だった釜山大生は、「外国」という言葉が無意味になるほど仲良くなった日本人と、不幸な過去を繰り返さないよう努力すべきだという点で共感したと書いた。将来のあるべき友好関係のヒントが本書から見いだせる。
松原孝俊、崔慶原編
本の泉社
(1700円+税)
03(5800)8494
(2016.7.27 民団新聞)