掲載日 : [2016-07-27] 照会数 : 5299
よみがえる渡来人像…古文化財215点を展示
[ 国司を務めた高倉福信の人物模型(右) ]
【埼玉】「埼玉県立歴史と民俗の博物館」(さいたま市大宮区高鼻町)で16日、渡来人の軌跡をたどる特別展「高麗郡1300年‐物と語り‐」が始まった。古代寺院からの出土遺物、高麗神社の神宝や地域に残る古文書などの古文化財によって古代高麗郡の実像を示し、その歴史がどのように語り継がれてきたのかを明らかにするのが目的。重要文化財や重要美術品を含む215点を展示している。
第1部「物」で目に付いたのは、高さ6㍍の高句麗広開土王碑墨本(模刻本)1面。企画展を担当した学芸員は「県内の博物館でこれだけ大きい展示物は初めてではないか」と話す。
このほか、瓦や硯、煮炊きに使ったと思われる土師器、物を盛ったり液体を入れたりした須恵器などで高麗郡での生活ぶりを偲ぶことができる。
轡(くつわ)や鍵(錠前)瓦塔(がとう)は当時の文化の高さを伝える。展示担当の学芸員によれば「これだけ精巧なものは珍しい」という。関連してこれらを使用したであろう武蔵高麗郡出身の官人で、諸国の国司を務めた高倉福信(たかくらのふくしん)の人物模型を展示した。
第2部「語り」では、高麗郡の始祖、高麗王若光と、語り継がれてきた高麗郡の歴史にスポットをあてた。ここではめったに公開されることのない高麗神社所蔵の主要な神宝が一堂に会した。なかでも高麗氏系図は「大目玉」。高麗王若光が神奈川県大磯からやってきた根拠を示す古文書「箱根山縁起井序」(箱根神社所蔵)とも併せ、外部での長期公開は初めて。
オープニングイベントとして韓国伝統音楽サムルノリ(チームAVK)がエントランスロビーで祝賀演奏を披露した。8月31日まで(月曜日休館、9〜17時)。一般600円、学生300円。同館(048・645・8171)。
(2016.7.27 民団新聞)