掲載日 : [2016-02-24] 照会数 : 4221
朴槿恵大統領 国政に関する国会演説(要旨)
[ 朴槿恵大統領は、北韓による4回目の核実験と長距離弾道ミサイルの発射を受け、自ら要望するかたちで異例の国会演説を行い、国民の結束と国会の協力を求めた(16日) ]
北政権を根本的に変化させる時
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ブレーキなき暴走
実戦配備絶対許さぬ…核放棄へ総力制裁辞さず
私は今日、北韓の核実験とミサイル発射によって韓半島の危機が高まり国民の不安と危機感について、政府の取り組みを説明し国会の協力と参与を呼びかけるため、この場に立ちました。
もしこのまま見過ごしていたら、ブレーキなく暴走する金正恩政権は核ミサイルを実戦配備し私たちは不安と恐怖とに苦しむことになります。
私は国政の重心を韓半島の平和定着と統一の基盤構築に置き、韓半島に緊張が起こらぬよう努力してきました。しかし、韓国政府の努力と支援に対し北韓は核とミサイルで応え、水爆実験まで公言し世界を驚愕させています。
善意の支援はもはや限界に
国民の皆さん。もう従来の方式と善意では北韓政権の核開発意志を挫くことはできず、韓半島に破局を招くことが明らかになりました。これ以上、北韓の欺瞞と脅威に引きずられてはなりません。過去のように北韓の挑発に屈服して一方的な支援をしてはなりません。
今や、北韓を実質的に変化させる根本的な答えを見つけ、それを実践する勇気が必要な時です。国際社会は声を合わせて北韓の挑発を糾弾し、より強力な裁判を準備しています。しかし、北韓の核とミサイルの第一次的被害者はまさに私たちであり、この問題の最たる当事者もわが大韓民国です。
これまで北韓は、南北関係が悪化するたびに対南核攻撃に言及し、私たちを威嚇してきました。私たちが北の脅威の中で暮らしながら安保不感症が生じた側面があり、都合の悪い真実にあえて背を向けてきたかもしれません。もう、まさか、という安易な考えと国際社会に制裁を依存する無力感を捨て、あらゆる方法を動員しなければなりません。
まず開城工団全面的に中断
政府が開城工業団地の全面中断を決定したのも、北韓の核とミサイル能力の高度化を防ぐためには、北韓への外貨流入を遮断すべきという厳しい状況認識に基づいています。開城工団を通じて支払ったドルのほとんどが住民の生活向上には使われず、核とミサイル開発を担当している労働党指導部に入っていると把握されています。結果的に北韓の核とミサイル開発を事実上支援するような状況を続けてはなりません。
世界の諸国が対北韓制裁に賛同しているのも、国際社会の支援が北韓住民に届かず金正恩の体制維持だけに使われていると判断しているからです。国際社会が北韓への外貨流入を遮断するため、強力な制裁手段を講じている状況で、最当事者である韓国が国際社会と手を結び、北韓に核を放棄させるあらゆる手段を講じることは当然なのです。
今回、政府が開城工団の稼働中断を決定しながら最も優先したのは、わが国の企業と労働者の無事帰還でした。13年に北韓が一方的に開城工団の稼働を中断した時、わが国民7人が1カ月ほど事実上の人質に取られました。彼らの安全な帰還のために血のにじむ努力が必要でした。そのような事態を未然に防ぎ、国民を最短期間内に安全に帰還させるため、国会に事前通知しない緊急措置を講じたのです。
開城工団の全面中断は国際社会とともに講じていく諸般措置の開始にすぎません。政府は今から北韓政権が核では生存できず、むしろ体制崩壊を早めるだけだということを痛切に悟り、変化するしかない環境をつくるために、より強力で実効的な措置を取っていきます。
このプロセスで私たちは同盟国である米国との協力はもちろん、韓米日3国間の協力も強化していきます。中国とロシアとの連携も引き続き重視していきます。
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国会の使命今こそ
「安全を守る」最優先に
しかし、いくら強力で実効的な制裁措置が取られても、その効果は韓国自らが決然とした姿勢で制裁を貫き、国民の団結した力が後押ししてこそ表れます。その過程で、北韓が各種の挑発で混乱させ、わが国の国論を分裂させるための宣伝・扇動を強化する可能性もあります。
だからこそ私たち国民の団結と国会のひとつになった力こそが、北韓の意図を阻止する唯一の方法だと考えます。
しかし、残念ながら今、わが国の一部で北韓の核とミサイル挑発という原因よりは「北風疑惑」(北の脅威を利用した行為)のような陰謀論が提起されているのは、胸が痛む思いです。私たちの内部がそのようなことで揺さぶられたら、それこそ北韓の思うつぼです。
今、私たちすべてが北韓の無謀な挑発を強く糾弾し、北韓政権が核を放棄させるべき時に、私たちの内部に刃先を向けて分裂させることは決してあってはなりません。ダムの水位が高くなると小さな亀裂でも崩れます。北韓の挑発で緊張の水位がピークに達しつつあり、私たちの内部で葛藤と分裂が続けば大韓民国の存立も崩れ落ちるしかありません。
安保危機の前で与と野、保守と進歩が別々になってはなりません。国家安保と国民の安全は、決して政争の対象にしてはなりません。国民が政界に権限を委ねたのは国家と国民を守り保護してもらうためであり、その危険性まで選択できるよう委任したわけではありません。
人権法の成立一日もはやく
今、私たちは大韓民国を守るという国民の決然とした意志と団結、そして韓国軍の確固たる愛国心がこれまで以上に切実な時点にあります。
尊敬する国民の皆さん。私はどのようなことがあっても大韓民国と国民の安全を守り抜きます。国民の皆さんも政府の断固たる意志と対応を信じ、ともに力を合わせてくださるよう切にお願いします。
今後、政府は北韓の不可測で即興的に引き起こされるすべての挑発に万全の準備をしていきます。今、政府は確固たる軍態勢の確立とともにサイバー攻撃、大衆施設テロなどの非軍事的挑発にも徹底的に備えています。
強力な対北韓抑止力を維持するため、韓米連合防衛力を増強させ、ミサイル防衛態勢強化の、協議も進めています。2月10日に発表した在韓米軍の高々度ミサイル配置の協議もこの一環です。
国会議長、国会議員の皆さん。北韓がいつ、どのような無謀な挑発を敢行するかわかりません。テロなど多様な形態の危険に国民の安全がさらされています。国民の生命と安全のために、私が何度もお願いした「テロ防止法」と北韓住民の人権蹂躙を防ぐ「北韓人権法」が一日も早く通過するようお願い申し上げます。
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平和統一への試練
北住民の苦しみ直視を
15年ぶりに訪れた大寒波にもかかわらず、故郷に行く忙しい足を止め、「民生を求める立法を促す署名運動」に100万人を超える市民が参与しました。これは今抱える困難を一日も早く勝ち抜こうと、心を一つにした国民の涙であり叫びです。
「サービス産業発展基本法」は提出後3年半を過ぎています。サービス産業の育成はわが国の経済再跳躍と青年の未来がかかっているのです。世界的に低成長が続く環境の中で、過去のように製造業と輸出だけに依存してはわが国の経済成長を担保できません。サービス産業は雇用の宝庫です。雇用創出効果が製造業の2倍になり、特に観光、医療、金融、教育、文化など青年たちが好む雇用を最大69万件も創出できます。
13〜14年のOECD資料では雇用率70%以上を達成した先進国の中でサービス産業が活性化されていない国はありません。わが国のサービス産業を育成してこそ雇用率70%を達成でき、真の先進国隊列に連ねることができるのです。
雇用の拡大へ労働法通過も
労働改革は雇用改革です。一日も早く労働改革4法を通過させて下さい。庶民の苦しみをなだめ経済活力の焚き付けになる法案に対して偏った見方をやめ、国民の立場で通過させて頂くようお願いします。
北韓の核実験とミサイル発射という脅威の前にも政府を信じ毅然と対処してくださった国民の皆さんに感謝をささげ、政府と私は一層、責任を痛感しています。
私と政府は北韓政権を必ず変化させ、韓半島に真の平和が寄り添い、今、私たちが享受している自由と人権、繁栄を北の住民も享受できるよう進んでいきます。誤った統治によって苦しむ北韓住民の生活を決して無視しません。
その道程には今より大きな課題が待っているかも知れません。国民の皆さんが支えていただき、ともに歩んでいただければ必ず達成できると信じています。わが国民が平和と繁栄の韓半島をつくり、平和統一実現へともに力を合わせて頂くようお願い申し上げます。
(2016.2.24 民団新聞)