掲載日 : [2016-02-24] 照会数 : 5737
生野に人権図書館…〞民族〟との出会い、交流の拠点にも
[ 館内の資料を説明する藤井幸之助さん ]
猪飼野セッパラム文庫
【大阪】「韓国・朝鮮」、「在日」に関する関係書籍や雑誌、チラシ、パンフレット類、CD、DVDなどの資料1万2000点を取りそろえた私設図書館「猪飼野セッパラム文庫」がこのほど、大阪市天王寺区細工谷に週2回、夜間限定でオープンした。キャッチフレーズは、「みんなのまちの人権図書館」。代表の藤井幸之助さん(55、同志社大学嘱託講師=朝鮮語・在日外国人問題)は「民族との出会い、そして人と人との出会いの場にしていきたい」と話す。
「韓国・朝鮮」、「在日」など12000点
館名にはかつてこの付近にあった「猪飼野朝鮮図書資料室」、「学林図書室」、「青丘文化ホール」、「カラ文化情報センター」といった個性豊かな私設専門図書館に代わる「新しい風=春風」を吹かせたいとの願いが込められている。
地下1階、地上3階建て。2階にはスライド式本棚が置かれ、著者・編者名の50音順でさまざまな資料が並ぶ。1万2000点のうち「韓国・朝鮮」、「在日」関係は4000点ほど。ほかに被差別部落やアイヌ、沖縄関係など。80年代の懐かしいチラシやビラ、パンフレットなども所蔵している。
館内では「コリアン・マイノリティ研究会」などのセミナーも開催している。参加者は研究者や教員、学生、一般の日本人や在日同胞と幅広い。こうしたさまざまな分野の人たちと出会えるのも魅力の一つ。今後はレファレンス(調査・相談)サービスにも力を入れていく。
藤井さんは大阪外大に通っていた学生時代から関係の図書資料やチラシ類を収集し、自宅(東淀川区)の横にあった民家を借りて管理してきた。だが、賃貸契約が終わって、行き場がなくなった。そんななかで、ようやく民家を提供してくれる人が現れ、現在の場所に落ち着いたのは昨年5月のことだった。
「文庫」の前を南北に走る道沿いの半径2㌔以内には、清風高校や上宮高校、大阪女学院など多くの高校が点在する。藤井さんは、「これからの時代を担っていく高校生たちには正確な知識を身に付けてほしい。多くの人たちが自分の書斎がわりに使ってくれたら」と話す。
現在は木・金曜の週2回、18〜21時の夜間限定開館(事前連絡必要)。ボランティア体制が整えば、土・日曜の午後も利用できるようにしていきたいという。開館時間以外の利用についても相談に乗る。
問い合わせは藤井さん(090・9882・1663 メールはmasipon@nifty.com)。
(2016.2.24 民団新聞)