日韓親善協会中央会(河村建夫会長)は11月30日に東京都内のホテルで韓日国交55周年を記念して特別講演会を開催した。
講師には日韓古代研究家であり、『恨(ハン)を解くー古代史から紐解く日韓関係』および『新・恨を解く 日本書紀から幕末まで…日韓の大義を探る』の著者、京都大学東山会会長の太田洪量氏を招いて、古代史における韓日関係の史実についての解説が行われた。
86年から韓日古代の歴史研究を重ねてきた太田氏は奈良時代に成立した「古事記」や「日本書紀」など、日本の歴史書に見る韓半島との関わりについてを説明。とくに「日本書紀」は倭と百済の同盟関係が強調されており、「古事記」の太安万呂(おおの やすまろ)の墓記が百済漢文で記されていることなど、「日本書紀」原典の著者は百済系の書記官だと説いた。
「日本書紀」から明治維新までの約1150年の歴史をたどることで、両国に流れる「恨」を知り、共生の可能性を探り「恨」を紐解くとが必要で「恨を解く」ことは「歴史を紐解く」ことから始めるべきだと強調した。
その上で「丁寧に、冷静に、客観的に学問的な考証をしっかり踏まえながら少しずつ積み重ねていくことが、過去の恨を解き希望ある未来へとつながる道だと確信している」と述べた。
続いて、河村会長が韓日議員連盟の訪日、自身の訪韓に見る、韓日関係改善への両国政界の動向についてを説明した。
この中で河村会長は2015年に韓日国交の「慰安婦問題合意」について、両国の議員が①両国で基金をつくり支払う②韓国側だけで基金を集め日本側は寄付の形で参与するなどの案が出されたが、事実上の廃案となったことで膠着状態が続いているとの経緯を説明した。
また、先月来日した金振杓会長ら韓日議員連盟と日韓議員連盟との合同幹事会では韓国側の金会長が「多角的な見地で交流や協力を進めていくべきだ」と述べ、東京五輪成功のため、議員連盟に「東京五輪交流協力特別委員会」の設置や、1月に開く民団の新年会に合わせて韓国側議員が訪日し、両国の議員と有識者によるシンポジウム開催の提案があったことを紹介しながら、「韓日友好関係は大きくなることはあっても小さくなることはない」と強調した。
(2020.12.02 民団新聞)