掲載日 : [2016-04-27] 照会数 : 4649
心も体も合わせてケア…元Kリーガーの金宏明さんが新基軸のトレーニングジム開く
[ 「これから」を語る金宏明さん ]
サッカーKリーグを経て、タイプロリーグでもプレーした在日3世の金宏明さん(32)。大学時代は在日同胞代表として大統領杯や国体に出場した。2012年に現役引退後、この経験を生かしたいとプライベート・トレーニングジム「ボディゴールド」を東京都内に開いた。メンタルケアまで含んだ「心と体」のパーソナルトレーナーの指導が定評だ。
現在、会員はトップアスリートから一般人まで約60人。トレーニングから食事の管理まで、完全マンツーマンで指導しながら理想的な体をつくり上げていく。
小学校のときに誕生したJリーグに刺激され、プロ選手になる夢を持ち続け、サッカーの名門、流通経済大学に進んだ。
05年、大学3年のときにサッカー人生を変える出来事が訪れた。在日本大韓蹴球協会から「韓国の国体で蹴ってみないか?」と声がかかった。「そんな道があったんだ」と即応し、蔚山国体に在日同胞代表として出場、チームを優勝に導いた。
さらに翌年の韓国大統領杯にも在日大韓蹴球団のメンバーとして出場。日本の天皇杯にあたる同大会の対戦相手は名門大学、実業団、プロと強豪揃い。はじめて戦うトップクラスの韓国サッカーは衝撃だった。スピード、メンタルの強さ、激しい当たり、どれをとってもレベルの差を痛感した。しかし、熱い心がたぎった。「韓国でやりたい。いや、体力を補えば自分も韓国でできる」
流通経済大学が朴智星の出身大学でもある明知大学校と姉妹提携を結んでいたことで韓国遠征に参加した。交流試合でプレーを見た明知大監督から推薦を受け韓国鉄道にテスト生として門を叩いた。1カ月のテスト最終日にチームのユニフォームを渡された。「きっと不思議な自信と力が沸いたんでしょうね」
瑞山オメガに移籍した後、08年Kリーグ新人ドラフトで慶南FCに指名された。怪我や故障が重なり12年、タイプロリーグを最後に引退した。
現役時代、怪我がつきものだったが、心身でアドバイスしてくれたトレーナーに支えられた。
「身体の良い部分、悪い部分、不思議なことに僕自身よりもすべてを把握していた。そのアドバイスが私の選手生命をつないでくれた」
韓国で学んだのは「自信を持つこと」だ。「自信を持って向き合うことで結果が全く違ってくるということを知った」。ジムでも自信を与えられるように会員には小さな成功を重ねさせる。
「自信を失い、一人で悩んでいる方が多いですね。この人たちにこそ決して諦めないでと言いたい。誰でもコンプレックスは持っているけど、思い込みだったと分かることで人は本当に変わるんです」
今後はアジアや米国、ヨーロッパなどに拠点を置いて、活動していくのが夢。「僕はただのトレーナーだけとは思っていない。私に関わった人には幸せになってもらいたいので、一生のパートナーとしてみてほしい」
(2016.4.27 民団新聞)