掲載日 : [2016-04-27] 照会数 : 4456
個人の尊厳と自由権侵害…脱北者1万6千人調査
[ 「脱北者調査から見えてきた北朝鮮」とダイした講演会 ]
「北韓人権情報センター」加害者責任追及へ
NO FENCE講演で報告
韓国の民間団体「北韓人権情報センター」の金仁星局長が16日、東京都内で北韓による人権犯罪について講演した。金局長がこれまで脱北者1万6000人について聞き取り調査した結果を分析したところによれば、「個人の尊厳」と「自由権の侵害」が最多を占めることが分かった。
「脱北者調査から見えてきた北朝鮮」と題して「NO FENCE」(北朝鮮の強制収容所をなくすアクションの会、小川晴久代表)が主催した。
「北韓人権情報センター」は2003年の設立。北韓での人権改善と人権侵害の清算を主な目標とし、韓国に入国した成人の脱北者1万6000人についてもれなく面接、またはアンケート調査を重ねてきた。
その結果に基づき07年から毎年、『北朝鮮人権白書』をハングルと英語で発刊している。金局長は、「本人が直接経験したものか、被害者の親族が目撃したものが8割を占めており、信頼性はきわめて高い」と強調した。
これまでに人権事件に関連するファイル5万5000件を分析。国際人権規約に依拠した人権カテゴリーに基づいて16分類したところ、「個人の尊厳」と「自由権の侵害」が61・5%と最も多かった。以下、移住・居住の権利、生命権の侵害、被疑者・拘禁者の権利の順だった。
発生場所は北韓の警察にあたる保衛部や安全部などの取り調べ施設、刑務所に相当する教化所、政治犯収容所などが5割を占めている。国際的な圧力が強まっても基本的な人権の改善に依然として変化は見られないという。金局長によれば、90年代の社会混乱期には空腹を満たそうと牛のしっぽを切ったぐらいの窃盗や人身売買で生命権の侵害にあたる公開処刑が行われた。
だが、2000年代に入って国際社会からの批判の高まりに公開処刑だけは減少傾向にあり、韓流番組を収録したCDRの大量流布や麻薬取引者を罰する非公開処刑が増えているという。なかでも、外部情報の流入による体制の不安定化に対してヒステリックな反応を見せる傾向が見られるようだ。
金局長は「韓国でも北韓人権法が通過した。これからは加害者の追及に力を入れていく。3年前だったら北韓に責任を取らせるといったらタブー視されたが、いまでは韓国国内でも理解が広がってきている」と力を込めて語った。
(2016.4.27 民団新聞)