掲載日 : [2016-05-11] 照会数 : 7346
<熊本地震>家屋損傷じわり不安消えぬ同胞…民団の戸別訪問続く
本部会館 移転、新築を検討
民団熊本本部(金泰汶団長)は余震が続く中、団員宅の戸別訪問をしながら、安否や被災状況の確認を継続している。支援物資には今のところ問題ないという。
同本部は「熊本地震被災者支援韓国民団対策本部」(本部長・呉公太団長)と協力、4月19日から25日までに、被害のない球磨郡8世帯を除く訪問対象127世帯すべてを訪れ、77世帯で面談。それ以降、今月10日までに26世帯を訪問し、21世帯と面談した。
これまで死亡・重傷など人的被害や家屋の全壊など重い物的被害は確認されていない。だが、半壊が2軒あるほか、屋根の毀損による雨漏りや壁のひび割れなど、まともな日常生活に支障を来す被害は、ほぼ全世帯におよんでいる。
また、親族を頼って自宅を離れるケースはあっても、熊本県下の避難所で生活を余儀なくされている同胞は、今のところ確認されていない。
熊本本部にとって頭が痛いのは、本部会館が危険な状態にあることだ。鉄筋・鉄骨造りだが、2本の鉄筋が25センチほど飛び出ており、残り4本は曲がっている。鉄骨も土台からはみ出している。
熊本市の建物安全検査で「危険」の赤紙表示がされており、文字通り危険な状態だ。2階は使用不能になっており、1階も強度の余震が来れば保たないと見られている。
現在、通常業務に復帰するために、移転先を探しながら引っ越しの準備をしているところだ。会館新築も視野に入れねばならないという。
県内で通常営業
九州幸銀2店舗
熊本市内に2支店を抱える九州幸銀信用組合で地震対応を統括する本店本部の田辺信司総務副部長は、「熊本支店の天井が雨のせいか一部崩れ、大家が応急処置をした。通常営業にはまったく問題がない」と語る。顧客宅も訪問したが、問題はなかった。このほか、熊本県庁通り支店も大分支店でも業務に支障が出ていない。
P店14店舗を経営する21世紀グループ(金学哲代表)は、被害のあった11店舗のうち8店舗が営業を再開した。上益城郡や熊本市東区など、被害の大きかった3店舗は補修工事に時間がかかりそうだ。
声なき声に耳を
新定住者が要望
新定住者たちも独自の動きを見せている。九州看護福祉大学(玉名市)の李玄玉教授(54)は来日して27年だ。地震後に熊本市内に住む知り合いの教授や教会信者の家を毎日のように戸別訪問してきた。
「うちの大学はGW後の9日から授業が始まった。韓国に一時避難的に帰国していた留学生数人も戻ってきたが、熊本市内の熊本大や熊本学園大は授業が正常に再開できるかどうか」と心配した。
民団に対して「外見は大丈夫でも、家の中はあちこちでひびが入り、そのままでは住めない家庭も多い。同胞らの不安はこれからだ。新定住者も含め、何を求めているか、よく聞いて対応してほしい」と求めた。
(2016.5.11 民団新聞)