掲載日 : [2016-05-25] 照会数 : 4831
「ヘイトS根絶への一歩」…法案成立で呉民団中央団長が談話
自民・公明両党が提出していた特定の人種や民族への差別を煽るヘイトスピーチを解消するための「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」が24日、衆議院本会議で可決、成立した。
同法はヘイトスピーチを「許されない」としつつも、禁止規定や罰則は設けていない。だが、ヘイト行為を「外国人を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」と定義、「外国人に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない」との理念を明示した。
民団中央本部の呉公太団長はこの日、要旨次のような談話を発表した。
罰則規定を伴った基本法ではない理念法とはいえ、ヘイトスピーチを禁止する条項も明記されていない。保護対象を「適法に居住するもの」として、日本国内の数々のマイノリティを除外するかのような印象を与え、普遍的な人権擁護の観点からも大きな問題を抱えている。
それでも、ヘイトスピーチの暴力が野放しであった状況を変えていく重要な起点であり、根絶に向けての大きな一歩として意義付けることはできる。同法の実効化に向けてのさらなる取り組みを続け、人種差別撤廃条約の理念・水準に見合った基本法の制定をめざす。
(2016.5.25 民団新聞)