掲載日 : [2016-07-27] 照会数 : 5760
東京芸術座「KYOKAI 心の38度線」…演出の杉本孝司さんに聞く
在日の人権獲得に捧げた崔昌華牧師の人生
東京芸術座は「KYOKAI 心の38度線」(作=山谷典子)を8月18〜22日に東京・豊島区の東京芸術劇場シアターウエストで上演する。モデルは、在日同胞の人権獲得運動に半生を捧げた崔昌華牧師。演出の杉本孝司さん(写真)に聞いた。
物語は、主に金嬉老事件(1968年)と、NHKを相手に名前には人格権があると最高裁で争った人格権訴訟(75〜88年)に焦点を当てながら、崔牧師の生き方を描く。
杉本さんは、崔牧師が取り組んできた在日同胞の人権獲得運動は、昔の話ではないと強調する。「本当の意味での基本的な人権が認められていないとか、問題が共有されていないなど私たちは曖昧な社会で生きている」
今、杉本さんが感じているのは、日本人の観客には芝居の楽しみを通して、在日に関心を持ってもらい、在日の問題が何を提起しているのか、一緒に考えてほしいということだ。
「知らなかったことを知る驚きとか、衝撃はあると思う。だけどそれが言いたいのではなくて、観客である『私』がそこで同じように苦しんだり、闘っているというふうに感じてもらえれば、もっと共感が広がっていくのではないか」と期待を込める。
劇中の金三順や崔栄植牧師については「どれくらい魅力的に生き生きと描けるか、そして、今を生きている私たちと共有できるような願望や苦しみ、悲しみ、喜びを持って舞台に現れてくるか」ということに全力投球していると話す。
「観客には作品を見終わったときに、人間はちゃんと向き合えば何かが生まれるんだと思っていただければ嬉しい」
チケット前売り一般5000円、大学・専門学生3500円ほか(当日は各500円プラス)。 申し込み・問い合わせは東京芸術座(03・3997・4341)。
(2016.7.27 民団新聞)