掲載日 : [2020-05-13] 照会数 : 7607
「新大久保がゴーストタウンに」食堂の3分の2は休業
[ 臨時休業中の店の前に立つ新宿韓国商人連の役員 ]
[ 入手困難だったマスクも新大久保の店先では山積み ]
新宿韓国商人連合会が融資支援申請書作成を代行
「新大久保(コリアンタウン)は幽霊の街になりました」。社団法人新宿韓国商人連合会の金奎煥会長が力なく話した。同じく商人連の金日理事長も「しょうがなく(もう)笑うしかない」と自嘲気味だった。安倍晋三首相が4日、「緊急事態宣言」の延長を発表したことが決定的だった。内部留保のない飲食店は追い詰められている。
「新大久保コリアンタウン」には約600店が軒を連ねる。このうち食堂を中心に約3分の2が4月1日から「臨時休業」の張り紙を出した。期間は「当面の間」。5月7日からの再延期は織り込み済みだったようだ。
金会長によれば「3月25日から客足がパンと落ちた」。1日あたりの売上が50万円とすればせいぜい1~2万円に。これほどの消費の落ち込みは想像していなかったはずだ。経営者としては、いずれの日にか客足が戻るのに備えてパートの従業員はともかく、厨房をつかさどる正社員までは辞めさせたくないというのが正直なところ。
こうした人件費に加え、店舗の家賃負担も大きくのしかかる。相場は坪あたり3万円。30~40坪の平均的な店で月100万円前後。サムギョプサル専門店など複数店舗を経営する金理事長は300万円だ。「日本だけでなく世界の問題だから。全部クリアしないと…。前が見えない」と語る金理事長の声は沈んでいた。
新宿韓国商人連合会では区が中小・零細事業者向けに用意した融資支援制度を活用したい会員のために同事務所内に相談窓口を設け、申請書の作成代行を始めた。日本語による煩雑な書類作成がおぼつかない個人事業主を中心に50人を超える会員から依頼・申し込みが寄せられている。実務を一身に担う鄭宰旭専務理事は窓口となる区の産業振興課に迅速な審査を要請した。
呉永錫名誉会長は「6月まで持ちこたえられる店が何軒あるのか。もう1回、韓国のブームを起こそう」と語気を強めた。
百貨店のように豊富な韓流グッズを取りそろえた「韓流百貨店」と「韓流PLAZA」を経営する金德洪さんは「韓流PLAZA」を閉めていた。東日本大震災の時にも大きな打撃を受けたが、今回ばかりは「震災の時よりも何倍も」と言葉少なだった。
(2020.05.13 民団新聞)