再びの躍進へ 基盤固める年に
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大転換期の世界経済
構造改革 さらに推進
尊敬する国民の皆さん。
希望に満ちた新年が明けました。国民皆さんのご家庭が幸福と平安に包まれることを祈念します。
私は大統領に就任して以降、国民の皆さんと大韓民国の未来のためだけに最善を尽くしてきました。残りの任期中も国民と国のためにすべてを捧げます。
光復70周年の今年は非常に意味のある年です。また、執権3年目であり、全国単位の選挙がない年だけに、経済活力を取り戻し、国家革新のために国力を結集できる絶好の機会でもあります。政府はこの機会を生かし、国民の皆さんとともに2015年を希望の年にしていきます。
世界経済はグローバル金融危機以降の大転換期にあり、国家間の競争はますます激しくなっています。私たちの経済は飛躍か停滞かの分かれ道にあり、過去からの誤った制度と慣行を根本的に変え、経済体質を革新し、新たな成長能力を備えられなければ、世界との競争に遅れをとるほかありません。
私たちが今、これらの課題と危機にどのように対応するかは、将来世代の生存とも直結した問題です。私はこのような課題を克服するために昨年、経済革新3カ年計画を発表しました。
ずさんな公共部門と市場の誤った制度や慣行を正し、「基礎がしっかりした経済」をつくり、創造経済を通じて私たちの経済を「ダイナミックな革新経済」に変貌させ、成長の果実が国民に還元されるよう、内需と輸出のバランスのとれた経済をめざすと明らかにしました。
計画が支障なく推進されれば、私たちの経済は潜在成長率4%台、雇用率70%、国民所得4万㌦の経済に変わると確信しています。
3カ年計画1年目の昨年、核心課題を重点的に推進した結果、成長率が4年ぶりに世界の平均を上回ると推定され、雇用も12年ぶりに50万人台の新規雇用を創出しました。
世界的な景気低迷の中でも輸出額、貿易黒字、貿易規模が史上最大を記録するトリプルクラウンを2年連続で達成しました。ですが、このような成果にもかかわらず、景気回復の恩恵が国民皆さんの実生活にまで及んだとは言えず残念です。
国民の皆さん。私は皆さんが味わう困難は経済の構造的な問題に原因があると思います。たとえ難しくとも、構造改革を通じて根本的な治癒を施してこそ、将来の世代に健康な大韓民国を譲ることができます。
これを成し遂げようとするのが、G20の成長戦略の中でもっとも高く評価された経済革新3カ年計画です。今年は、この計画に基づいて予算を編成した最初の年であり、昨年築いた制度的枠組みを土台に本格的に推進します。
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4大部門を柱に
公共機関を統廃合…労・使の共生は必須要件
公共、労働、金融、教育の4大部門を中心に構造改革に拍車をかけ「基礎がしっかりした経済」を固めます。この4大部門は密接にリンクしています。
まず、公共機関を2段階で正常化させ、他部門の改革を先導します。公共部門の改革はすべての改革の始まりです。昨年、公共機関自らの刻苦の努力で24兆ウォンの負債を減らし、今後5年間で1兆ウォンの福利厚生費を削減する成果を達成しました。
2段階で公共機関の正常化を推進し、環境変化によって不必要になったか重複した機能は、思い切った統廃合により核心力量を中心に再編します。これらが成果を出せば、公共部門の生産性と効率性が高まり、より安価で効率的な公共サービスが提供できます。
公務員年金も必ず改革しなければなりません。昨年、2兆5000億ウォンの赤字を国民の血税で補填しました。今年は3兆ウォン、10年後には10兆ウォンと赤字規模が雪だるまのように増える展望です。このままでは484兆ウォン、国民1人当たり945万ウォンもの膨大な借金を次の世代に押し付けることになります。
これまで、昼夜を問わず献身した公務員らが国の基礎をつくってきたことは誰も否定しません。苦しくとも少しずつ譲歩するようお願いし、定年延長と賃金ピーク制の導入などモラル振興策を補完して、与野党が合意して4月までに必ず処理することを切に望みます。
また、共生労働市場への構造改革を推進して雇用創出と経済活性化を成し遂げます。労働市場改革は選択ではなく必須の生存戦略です。非正規職の差別化に代表される労働市場の二重構造を解消しなければ、質の良い雇用創出と経済活性化は困難です。
さる12月23日、労使政の代表らが「労働市場の構造改善の原則と方向」について合意しましたが、韓国もオランダやデンマークのような社会的大妥協ができるとの希望の種を見ました。
労働市場が改善されれば、私たちの未来世代がより良い仕事を持ち、国家競争力も高くなります。労使は共生の精神をもとに、3月までには必ず、労働市場の構造改革総合対策を導き出すようお願いします。
金融も今や、担保や保証中心の古い保身的な慣行から脱却すべきです。現場の技術力や成長の可能性を評価し、資金を供給する創意的な金融が優遇される文化をつくります。
国家百年の計のための教育改革にも最善を尽くします。まず、入試中心の教育から脱して、学生の夢と才能を生かす自由学期制をさらに拡散していくでしょう。公共機関から率先して学生に機会を提供してください。「所得連動型半額登録金」制度を年内に完成させ、経済的困難から大学教育を放棄する学生が出ないようにします。
あわせて、産業の需要に合う現場中心の教育に転換するために、スイスの徒弟式職業学校を試験運用し、就職を前提に企業と契約した専門大学に対する支援を拡大します。
学閥やスペックではなく、能力で評価される社会をつくるため、今年からは、国家職務能力標準(NCS)をベースにした採用を公的機関から率先して大幅に拡大する方針です。
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文化産業が新動力
強み結合し市場開拓を
国民の皆さん。経済革新の2つ目の実践戦略は、経済のダイナミズムを回復することです。
創造経済の主役である中小・ベンチャー企業を積極的に育成サポートするために、大企業との1対1支援システムを備えた創造経済イノベーションセンターを上半期中に全国17の市・道すべてに開設し、金融・法律・事業コンサルティングなどワンストップ支援体系を装備していきます。
特に、地域特化産業と連携して地域経済を引っ張るハブとして育てます。
そして、製造業の革新戦略を本格的に推進します。スマート工場拡散などの工程革新と3Dプリンティング、ビッグデータなど核心技術の開発を通した新たな未来成長動力をつくり、優秀な若い人材が集まる製造業に生まれ変わるようにします。
また、気候変動の危機を新たな機会に活用するために、エネルギー新産業を積極的に育成します。
電気自動車とゼロエネルギービル、環境にやさしいエネルギータウンなど、温室効果ガスを削減しながらも、新たな成長の突破口を確保していきます。
私たちの経済領土は日々拡大しています。停滞していた交渉を相手国の首脳と既存の枠組みを超えた創造的な方式で数回協議をした結果、中国、カナダ、ベトナムなど5カ国とFTAを締結することができました。
私たちのFTA市場規模は、世界のGDP(国内総生産)の73%以上に拡大し、私たちの企業は価格競争力で優位性を持って輸出することができました。政府のFTA活用支援策も可視化され、多くの中小企業が新規契約を獲得するなど、FTA締結国への輸出増加率は平均輸出増加率の2倍を超えます。
農業でもFTAを危機ではなく、新たな機会として活用できるよう、未来成長産業、輸出産業化への戦略を推進するでしょう。
世宗創造村の発足を契機に、スマートファームを本格的に普及して、農村観光・流通・教育など様々な分野にもICT標準モデルを開発して活用すれば、農業の6次産業化も短縮することができるでしょう。また、農業がFTAを足場に中国や東南アジアを越えてハラール市場にも進出できる輸出産業に育てていきます。
国民の皆さん。創造経済に常に新しい動力を提供するのがコア・コンテンツであり、新たな経済領域を開拓する先兵はまさに「文化」です。世界は今、文化によって新たな産業を創出し、文化産業として市場を開拓しながら自らの領域を構築しています。
世界が文化の領域、デジタル領域を確保するために熾烈な競争をしている現時点で、この機会を逃せば私たちは未来の成長動力を失い、次の世代の生きる糧がなくなりかねません。
政府は、創造文化が率いる未来の新成長エンジンをつくり、私たちの未来を確保していきます。まず、積極的な支援と育成で無形の資産を価値化させ、文化コンテンツ産業を創造経済の主役に育てていきます。
そこに、私たちの長所であり強みであるデジタルパワーが結合すれば、全世界のデジタル消費市場の流れを変える新デジタル文化産業を起こすことができるでしょう。
文化コンテンツとデジタル文化が出会う場所に供給と需要が有機的に循環する新しいプラットフォームを構築すれば、想像できないほど大きな新しい市場も開拓することができます。
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内需拡大に全力
民間こそ経済の中心
国民の皆さん。経済革新の第3の実践戦略は、内需拡大を通じて内需と輸出を均衡させることです。まず、内需不振と低成長の根本的な原因である痼疾的な規制を改革することが最も緊急の課題です。
規制改革は、経済の中心を政府から民間に移す核心です。昨年は汎政府的力量を結集して、前年より3倍多い約3000件の規制を改善し、年末には規制断頭台方式を適用して長年にわたって手つかずの規制を電撃解決しました。
2段階の規制改革を成功裡に推進すれば、企業や外国人投資家はより自由に投資できるようになり、仕事も増えて経済回復に大きく役立ちます。また、消費心理を活性化させ内需を改善するためには、何よりも不動産市場の回復が必要です。
この間、不動産市場を縛ってきた過度な規制を正した結果、昨年の住宅取引量が8年ぶりに最大値に達するなど、不動産市場が少しずつ回復しています。政府は今後、規制廃止、低価な土地の供給、果敢な金融・税制支援などを通じて、民間の長期賃貸住宅の供給を大幅に増やし、住居費の引き下げにつながるようにします。
これとともに、国民の医療費負担を軽減し、福祉の死角地帯をなくすための努力も続けていきます。基礎生活保障制度はカスタマイズされた給与体系に改編して、より多くの方々により充実したサポートを提供しながら、所得が増えても医療・住居など必要な支援を継続受けられるようにします。
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光復70周年を迎え
平和統一への扉 開こう
尊敬する国民の皆さん。
70年前、私たち民族すべてが一つになり、独立のために戦ったその衷情で分断70年を終わらせ、私たちの願いである統一を達成するための道に乗り出すべきです。
今年、光復70周年を迎え、「統一準備委員会」を中心に統一のビジョンと方向性について、国民の意思を集め、汎国民的、超党派的な合意を導き出し、平和統一のための確固たる基盤を築きます。
北韓はこれ以上ためらわず、対話に応じるべきです。離散家族問題の根本的解決をはじめ、北韓住民の生活向上と民族の同質性回復などに向け、南北がお互いの顔を見ながら論議し、統一の扉を開くよう望みます。
政府は今後、南北関係の発展と平和統一の基盤を構築するため、民間レベルの支援と協力を通じて実質的な対話と協力の通路を開いていきます。特に離散家族問題は、生存している方々の年齢を考えればこれ以上遅らせることはできません。
この正月(旧)を前後して離散家族の再会が行われるよう、北韓が開かれた心で応えてくれることを期待します。また、今年の光復節70周年を記念する様々な共同行事を南北がともに準備することを望みます。
しっかりした安全保障は平和統一の基本的な土台です。政府は韓米同盟を堅固に維持しながら、韓中の戦略的協力パートナー関係を内実化し、国交正常化50周年を迎える日本との新しい関係を模索しながら、韓ロ関係の安定発展を期していきます。これらを基に、北韓の非核化と南北関係改善の好循環を図ります。
今年は南と北がともに平和的かつ自由に往来し、ユーラシアとより広い世界に向けて進むことを希望します。分断の歴史を終わらせ、韓半島の平和統一を達成するための道を力合わせて進みましょう。
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「経済革新」必ず
果実を届けたい
尊敬する国民の皆さん。
6・25戦争直後、世界の最貧国の一つであった私たちが、世界10位圏の経済規模を持つ国へと成長し、全世界で唯一、戦争とは無縁に重化学工業を成功させた国になりました。
世界で初めて、援助を受けた国から与える国へと発展しました。私たちには、このような底力があり、いかなる困難な問題も克服することができます。
経済革新3カ年計画を国民の皆さんと力を合わせて成功裏に推進し、その果実を国民の皆さんに届けることが私の願いです。
それを達成するために青瓦台も新たに組織改編を行い、積極的かつ進取的な姿勢で、国民の目線に合う政策を推進し、国民と意思疎通をはかります。
今後、政府と青瓦台が国民に希望を与え、信頼されるよう生まれ変わる努力をします。
私は国に対する私の最後の奉仕を、今後30年の経済繁栄のための基礎を固め、平和統一を成し遂げるために捧げるつもりです。
国民の皆さんも力を合わせ、大韓民国が再跳躍する希望の2015年をつくってくれるようお願いします。
(2015.1.15 民団新聞)