掲載日 : [2019-11-27] 照会数 : 5933
「北送」60年…オペラ歌手の田月仙さんが北に消えた兄を語る
[ 北に渡り、「政治犯」として収監された4人の兄について語る田月仙さん ]
「送り出したのは在日、止めることもできた」
在日2世のオペラ歌手・田月仙さんが22日、北に渡り、「政治犯」として収監された4人の兄について東京・新宿の牛込箪笥ホールで自らの心中を語った。自著『海峡のアリア』(小学館、07年)で書き綴っていたが、公の場で明らかにしたのはこれが初めて。「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」(佐伯浩明代表)が依頼した。
兄の4人は69年、「政治犯」という名目で逮捕された。1年間にわたる刑務所での取り調べを経て70年から8年間、耀徳15号収容所で流刑生活を強いられた。収監中に次男が死亡、長男も90年に死亡した。田さんは講演で「在日は『帰国者』を送りだした側でもある。『北朝鮮帰国事業』が間違いだと気づいたときに議論し、止めることもできた。希望者がいないのに『帰国事業』を続けたのが残念だ」と語った。
田さんの母親は生前、「金日成を信じたこと、息子を送ったことは誤りだった」と周囲に語り続けてきたという。これが今日の「守る会」の発足につながった。
(2019.11.27 民団新聞)