掲載日 : [2016-05-11] 照会数 : 4371
第2次中東ブームなるか…朴大統領のイラン国賓訪問
[ ヒジャブを着用しイランとの首脳会談に臨んだ朴槿恵大統領 ]
大規模受注の弾みに
鉄道事業や石油化学団地建設
昨年7月の核協議妥結によって欧米諸国の経済制裁が解除されたイランは、制裁で打撃を受けた経済の再生が急務で、第6次5カ年開発計画(16〜20年)を通じて平均で年8%の経済成長を目指す。石油・天然ガスなどエネルギー分野だけでも1850億ドル規模の投資が予定されている。
朴槿恵大統領の国賓訪問を突破口に、韓国企業の大規模な受注が相次ぐ見通しだ。青瓦台の経済首席秘書官は、韓国はイランの政府・民間企業と66件の了解覚書(MOU)を締結し、その規模は30件のプロジェクトで計456億ドルになると明らかにした。
貿易量3倍に
鉄道事業などインフラ関連で116億ドル、石油化学団地建設などエネルギー分野で178〜258億ドルが目を引く。受注に成功すれば歴代最大規模とされるだけに、第2次中東ブームの震源地となり得るイランに乗り込んだ意味には大きなものがありそうだ。
ロウハニ大統領は朴大統領との共同記者会見で「両国の通商関係を戦略的なものに発展させる」と強調し、貿易量を3倍の180億ドル規模に引き上げることや、テヘラン‐ソウル間の直行便運航なども協議したと述べ、朴大統領は「イランの経済再建に向け投資と貿易を拡大する」と応じた。
イランにとって韓国は第6位の貿易相手国であり、原油の主要な輸出先でもある。イラン‐イラク戦争時の88年、イラクの空襲で韓国の大林産業の職員13人が死亡したにもかかわらず、ガス精油所の工事をやり終えた事例など「信義の物語」もあって絆は強い。
イランは経済制裁の余波で、政府が工事を発注しても支払いに窮するほど金融事情が劣悪だ。それでも、中国・ロシア・トルコ・日本などが猛烈な売込みをかけている。とくに、欧米による経済制裁の期間中にイランとの関係を深めた中国は、550億ドルの支援をすでに約束した。日本も大規模な信用融資を提供する予定とされる。
韓国も輸出入銀行や貿易保険公社などの金融機関が250億㌦の金融支援に乗り出した。MOU自体は双方の意思を確認したものに過ぎず、最終受注までには隘路が少なくない。イランが再び制裁を招く可能性にも注視しつつ、政府・企業が一体となった働きかけが望まれている。
韓流人気高く
イランでは韓流の人気が高く、韓国企業の市場開拓を後押ししてきた。なかでも、市民の心を鷲づかみにしたのがドラマだ。「大長今(宮廷女官チャングムの誓い)」「朱蒙」の視聴率は60〜86%を記録、韓国史劇ブームが続いている。K‐POP、韓食、テコンドの人気も根強い。
最高指導者のハメネイ師も韓流ファンの一人だ。朴大統領との会談で師は、「朱蒙をよく見た。魅力的なテレビシリーズであり、多くのイラン人が見た」と語り、両国の出席者が破顔大笑する場面があった。師が外国要人との会談で笑うのは珍しいとイラン側は説明した。師はまた、「イランもイランの歴史を素材に良い作品をつくらなければならない」と述べ、文化産業協力にも関心を示したという。
(2016.5.11 民団新聞)