韓国政府の毅然たる姿勢
国民が結束し支えた
43時間にわたった南北最高位級会談で6項目の合意を見た。「北韓」の「遺憾」が第2項に、事実上の再発防止策が第3項に明示された。
北韓は分断70年の間、6・25南侵は言うまでもなく青瓦台武装ゲリラ侵入、大韓航空機爆破、アウンサン廟テロ、天安艦爆沈、延坪島砲撃など数え切れない挑発を行ってきた。
しかし、北韓が遺憾を表明したのは青瓦台ゲリラ事件(68年)、板門店斧蛮行事件(76年)、潜水艦東海侵入事件(96年)、第2次延坪海戦(02年)の4件に過ぎない。それも、口頭もしくはファクスによるものだった。
今回が過去と異なるのは、「遺憾」という文言とその表明主体が北韓であることも南北の最高位級4人による合意文に明記され、永久に残るようになったことだ。
国家と国家の間では戦争に敗れた場合を除き、謝罪という用語は使わない。遺憾がそれを意味することは外交上の定説だ。第2項は事実上、北韓の謝罪を意味する。
第3項は、南北間に非正常的な事態が発生すれば、北韓が恐れる拡声器放送を再開するとのいわば但し書きである。非正常とは、北韓が局地挑発など休戦協定を侵す事態を言う。この但し書きは事実において、再発防止の制度的装置と言える。
これらが明記されたのには、北韓の戦略・戦術的ミスが大きく作用した。まず、タイミングを間違えた。地雷挑発は定例の韓米合同軍事演習期間中であり、中国が抗日・反ファシズム戦争勝利記念式を間近に控えた時期だ。米国はもちろん中国も北韓を圧迫するほかなかった。
北韓はまた、韓国の対応を見誤った。かつてなく強硬に出てくるとは思わなかったのだ。天安艦爆沈や延坪島砲撃時も、韓国は拡声器放送をしていない。さらに、準戦時体制を宣布し、48時間以内に突入するとしたことで自らの手足を縛った。「最高尊厳」を守るために、拡声器放送の中断を何よりも最優先にせざるを得なくなったのだ。
だが、こうした北韓のミス以上に決定的だったのは、韓国政府の原則的な対応と国民の結束だった。政府は挑発↓協商↓補償という悪循環を断つことに最大の力点を置いた。国民もまた、過去にない声援を政府に送った。
軍事境界線に近い住民たちですら、「今回は必ず懲らしめるべきだ」と言い、国民の多くも「協議の決裂を恐れ、譲歩してはならない」と主張した。30代の予備軍兵士たちは招集にすぐさま応じるべく待機し、転役命令を受けた20代の将兵たちも転役延期を相次いで申請した。
地雷挑発に対する軍事休戦委員会の将星級会談さえ拒否した北韓は、拡声器放送を再開するやあわてて高位級接触を提議し、2+2の会談に応じざるを得なかった。
北韓では第2項と第3項をめぐって内部対立が起きるかも知れない。だが、北韓は今回の合意が南北の敵対的関係を清算し、未来への枠組みづくりに合意したとの大きな考えから、合意文を忠実に守ることが望まれる。
(2015.9.9 民団新聞)