開城・ソウルで展示会…満月台共同発掘
共同編さん会議再開…民族語大辞典
北韓・開城の高麗博物館で満月台発掘遺物南北共同展示が始まるなど、「8・25南北高官合意」後、非政治分野での南北民間交流・協力が広がりつつある。韓国政府は、かねてから政治色が排除された文化・学術・スポーツなどの民間交流は積極的に認める方針を明らかにしており、南北の和解・協力ムードを高めていきたいとしている。
1カ月間開催
高麗朝の王宮跡地であり2013年にユネスコ世界遺産にも登録された開城歴史遺跡区の満月台で南北が共に発掘した遺物を公開する展示会が、ソウルの国立古宮博物館企画展示室(13日から)と開城の高麗成均館(15日から)で開かれている。
南北が共同で発掘した民族遺産の展示会は初めて。南北の観覧客は1カ月の展示を通じ、陶磁器、皿、瓦など100点余りの遺物を見ることができる。開城での展示には、今回出土した遺物はもちろん、南側で保存中の遺物の立体映像も見ることができる。
南北は07年から共同で開城の満月台発掘調査作業を進めてきた。開城松岳山の南麓にある満月台跡は計25万平方㍍規模で、南北共同発掘の規模は西部建築群3万3000平方㍍に達する。10年まで4回の発掘調査を通じて高麗宮城の建物配置と銘文瓦、円筒形青磁などの遺物を確認し、11年には水害被害建物址と石垣に対する保存措置を行った。
その後南北間の緊張状況が続き3年余りにわたり中断されたが、昨年7月に再開された。今年は歴代最長の発掘調査期間となる180日で南北が合意し、6月に再開、王の寝殿だった「萬齢殿」と推定される場所での作業が来月末まで続く。
光復70周年を記念して設けられた今回の展示会は南北歴史学者協議会が統一部、文化財庁とともに推進した事業。韓国の歴史学者協議会と北の民族和解協議会の共催。
15日には開城の高麗成均館で南北の歴史学者による満月台の保存、活用法討論会が開かれた。このため70人余りの学者・専門家が北韓を訪問した。今後も6回にわたり関連の専門家が北韓を訪問し、発掘現場と開城展示会を見て回る予定だ。
ユネスコ世界遺産に登録された開城歴史遺跡地区は、開城城壁の5つの区域、満月台と瞻星台遺跡、開城南大門、高麗成均館、崇陽書院、善竹橋と表忠閣、高麗王陵などが含まれる。
学者討論会も
一方、南北の言語学者たちによる「キョレマル(同胞の言葉、民族語)大辞典南北共同編さん会議」は12日から19日まで北韓・金剛山地域で開かれた。
今回の会議には、高銀理事長などキョレマル大辞典南北共同編さん事業会関係者38人と北側編さん委員10人余りが参加。辞典に収録される単語のうち約2万1000語について検討した。
同事業は、南北分断状態が半世紀以上続き、日常語だけでなく学術用語なども異質化が深刻になっていることを受け、04年10月に南北社会文化協力事業として承認され、05年2月に金剛山で南北編さん会議の結成式がもたれた。
編さん要綱は辞典の性格を、「編さんにおいて提起される諸問題について南と北が共同で合意、解決し、民族語の遺産を集大成した統一志向的な辞典」と規定。12年までに、執筆を完了し、13年の発刊をめざした。
33万語収録へ
南北当局次元でも05年9月の長官級会談で同事業を支援していくことで合意。南北編さん会議は、09年12月まで年4回ずつ、計20回開かれた。
しかし、10年3月の北韓潜水艇による韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件を受けた同年5月の韓国政府の北韓制裁措置(5・24措置)に伴い、交流は中断された。11年11月に統一部が実務者の訪北を承認し、交流が活気を取り戻すかにみえたが、金正日総書記の死亡で再び中断された。昨年7月に再開され、今年は5月に中国・瀋陽で編さん会議が開かれた。
同辞典に収録される単語は約33万語。編さん作業は現在まで70%程度はかどり、順調に進めば19年4月までに完了すると期待されている。
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交流の活性化積極的に支援…統一部
統一部の黄富起次官は15日、ソウル市内のホテルで行われた講演で「8・25合意後、最初は北韓が関心のある事業だけ選別的に話し合われたが、今は宗教、体育、文化全般に分野が広がっている」とし、「(08年の金剛山観光客銃撃事件以前の)李明博政府序盤の民間交流が活性化していた水準に戻るだろう」との見方を述べた。その上で「北韓の人道的支援に対する拒否感も和らいでいる」と付け加えた。
統一部は、ソウルと平壌に「南北キヨレ文化院」を開設する構想を表明している。
統一部は18日にも「学術、体育、文化など民族の同質性回復に向けた南北交流はできるだけ承認するというのが政府の立場」だと強調している。
(2015.10.28 民団新聞)