掲載日 : [2017-10-25] 照会数 : 4955
「ICT五輪」の祭典へ…世界初「5G」柱に
[ 次世代移動通信で活躍する「5Gバス」 ] [ 仁川空港や競技会場での観客対応に通訳ロボットが登場へ ]
平昌五輪・パラリンピック期間中、江原道は単なるスポーツ祭典だけでなく、韓国が保有している先端ICT(情報通信技術)の祭典になると予想されている。
官民協力で試験網
最近のオリンピックとパラリンピック開催国は、オンラインでは移動通信分野を中心に先端ICT技術を組み合わせ、世界の注目を集めた。
2010年のバンクーバー大会では共有と参加の「ツイッター五輪」、SNS(ソーシャルネットワークサービス)が普及した12年のロンドン大会は「ソーシャル五輪」、14年ソチ大会はカスタマイズサービスと情報を提供する「BYOD(自分のデバイスを持ち込む)五輪」、昨年のリオ大会は「クラウド五輪」と呼ばれた。
しかし、来年の平昌大会は、これらをはるかに超えて世界で初登場となる次世代通信規格「第5世代移動通信(5G)」サービスをはじめ、便利なモノのインターネット(IoT)、ウルトラハイビジョン(UHD)、人工知能(AI)、仮想現実(VR)やロボット技術など、4次産業革命の核心技術が勢揃いする。
世界が平昌五輪を注目する目玉の一つが、5Gの世界初登場だ。
5Gは最高速度が20Gbps(ギガビット毎秒)に達する。現在のLTEの速度(400〜500Mbps)より40〜50倍速く、処理できる容量も100倍多い。半径1平方キロメートル内に100万個以上の機器と接続することができ、1ギガバイトの映画1本なら10秒以内にダウンロードできる。
平昌五輪の主管通信社である韓国最大手の通信業社、KTが世界で初めて5G試験サービスを実施する。5Gは世界各国が東京五輪が開催される20年の商用化をめざしており、韓国は一歩先んじた取り組みとなる。
韓国科学技術情報通信部と平昌五輪組織委員会は、KTをはじめとする移動通信会社と協力して、ソウルと平昌五輪の主要地域に5G試験網を構築している。また、KTは海外メーカーのほか、韓国の中小企業と5Gの端末機、基地局、中継機などを共同開発している。
12日には嶺東高速道路の大関領第1トンネルで高速道路走行による5G映像の伝送に世界で初めて成功した。韓国道路公社と共同で実施したこのテストは5Gネットワークを設置したトンネル内で、時速100㎞以上で走った車でも5G環境を享受できた。
通訳ロボットが案内
観戦客が仁川国際空港に到着すると、人工知能が搭載された自動通訳・翻訳ロボットが出迎える。競技場では、スマートフォンによる座席案内によってスムーズに自分の席を見つけられる。
KTでは5G通信網を活用し、「360度VR」「シンクビュー」「タイムスライス」など、五輪を生き生きと楽しめるコンテンツを提供する。
「360度VR」を利用すると競技場に行かなくても競技場にいるような臨場感あふれる体験ができ、中継画面で特定の選手を選んで見ることもできる。
「シンクビュー」は超高速カメラに5G通信モジュールを搭載し、選手の視点からの映像を提供する。高速に滑走するボブスレーなどの競技ではまるで自分が選手になったように楽しむことができる。
「タイムスライス」は数十台のカメラで撮影した立体映像を利用し、フィギュアスケートの選手がジャンプする瞬間を鮮やかに捉える。
このような実感型コンテンツは競技場や体験館だけでなく、一般の市民もスマートフォンなど、モバイル機器でも体験できるようになる。
「UHD」で鮮明生中継
また、韓国の地上波テレビ局は、五輪の競技をUHDで生中継する予定。昨年5月末に首都圏で始まったUHD放送は、ハイビジョンより4倍以上鮮明な画質と立体的な音響を提供する。韓国の技術で実現した「UHD体験スタジオ」も平昌五輪開催都市一帯に設置する。
AIを活用し言葉の壁克服
AIを活用した通訳・翻訳技術によって言語の壁が大きく下がると期待される。平昌五輪の公式通訳・翻訳アプリは韓国の政府系シンクタンク、韓国電子通信研究院(ETRI)が開発した「Genie Talk(ジニートーク)」だ。利用者がアプリに向かって話すと、音声と文字で自動的に通訳・翻訳される。サービス言語は日本語、英語、中国語、フランス語、スペイン語など29に及ぶ。
全国に先駆けてスマートシティに
江原道は、観光インフラを他の市・道はもちろん、他の国の主要観光都市と差別化する企画も立てた。現在、全国の自治体が「スマートシティ」というブランドを先取りするため、ICTシステム構築の競争に突入ており、江原道は五輪開催都市を中心に、これら最新技術を全国に先駆けて披露することになる。
観戦客を迎える江原道と地域住民は、大会期間中、どのような技術がどこでどのように融合されるのかを十分に把握し、観光などに最大限活用することが課題だ。
(2017.10.25 民団新聞)