掲載日 : [2018-10-10] 照会数 : 7425
静岡・友好善隣語り継ぐ「朝鮮通信使ネット」設立…民団はじめ5団体協働へ
【静岡】「朝鮮通信使」の「ユネスコ世界の記憶」登録を受け、その「友好善隣」の精神を後世に伝えようと関係団体・個人が9日、静岡市内で「朝鮮通信使静岡ネットワーク」を設立した。正会員は静岡県朝鮮通信使研究会、民団静岡本部、朝鮮通信使興津保存会、特定非営利活動法人AYUドリーム、静岡に文化の風をの会の5団体で構成している。
「朝鮮通信使」と静岡県とのゆかりは深い。使節団が宿泊や休憩のために立ち寄った静岡市清水区の清見寺は、一般市民を交えた韓日文化交流の拠点となった。詩文や漢詩などの資料が多く残る。
江戸時代に入って最初の通信使は1607年6月29日、江戸城で時の将軍徳川秀忠に国書を奉呈。その帰路、静岡市内の駿府城で家康に謁見した。朝鮮国との和平を強く望んでいた家康は舟遊びや豪華な料理で歓待した。この故事にならい静岡市は毎年4月、市内中心部で開く「静岡まつり」で大規模な通信使行列を再現している。
民間レベルでもNPO法人AYUドリーム(雨宮令子代表、清水区)と民団静岡本部が毎年10月、「興津フェア」で小中学生を中心とする「アンニョンハセヨ朝鮮通信使」再現行列を行っている。このイベントは住民が中心の朝鮮通信使興津保存会の協力を得ており、いまや地元に欠かせない恒例行事となっている。
各団体は「朝鮮通信使」の世界記憶遺産登録をめざしそれぞれの立場で努力してきた。今後は友好善隣の精神を次代に語り継いでいくため、関係機関、団体および個人が結集して「朝鮮通信使静岡ネットワーク」の組織として協働していく。
会長に朝鮮通信使興津保存会会長の高山茂宏さんが就任。事務局はAYUドリームと民団静岡本部が担う。主な事業内容は「朝鮮通信使」に関する各種セミナー・イベントの開催、史料・史蹟の調査と資料収集ならびに研究、韓国との情報交換と文化経済交流事業など。
現在、趣旨に賛同する団体・個人の会員を募集中。連絡先は民団静岡本部(054・272・6660)。
(2018.10.10 民団新聞)