掲載日 : [2019-04-03] 照会数 : 6174
東大で文化財テーマに研究会...大学院韓国学研究センター
「文化財をとりまく昨今の事例と動行」と題した専門家による研究会が3月22日、東京大学駒場キャンパスで開かれた。同大学院韓国学研究センター(外村大センター長)が主催した。
吉田光男東京大学名誉教授は2006年7月にソウルで実現した「東京大学所蔵『朝鮮王朝実録』のソウル大学への引き渡し」について初めて詳細を明らかにした。
吉田名誉教授によれば、引き渡しの背景には東大が90年にソウル大学校との間で締結した学術交流協定の存在があった。04年には国立大学の独立行政法人化が実現。国有財産が法人財産に移り、大蔵省の縛りを受けずに財産を処分することが可能になった。
05年には靖国神社の北韓大捷碑が韓国を経由して最終的に北韓に引き渡されたことも雰囲気づくりに役立った。日本側は「引渡」、韓国側は「返還」を主張していたが、最終的には学術機関間の寄贈で落ち着いた。吉田名誉教授は「用語にこだわっていたら実現は難しかった」と振り返った。
『朝鮮王朝実録』は初代の大祖から純宗までの27代519年間の歴史書。97年に「ユネスコ世界の記憶」に指定された。
(2019.04.03 民団新聞)