掲載日 : [2020-07-08] 照会数 : 6498
入居差別改善されず体感治安への不安も…川崎市「外国人市民意識調査」結果
【神奈川】川崎市は市内で今後とも増加が見込まれる外国人市民の多様なニーズや意見を施策に反映させるための「外国人市民意識実態調査(書面調査)」を実施し、このほど、その結果を公表した。調査は2014年の前回から数えて5年ぶり。項目は「住まいと防犯、安全」、「医療・保険・福祉」、「子育て・教育」、「地域活動・市政参加」、「雇用・労働」など7項目に及ぶ。
5年ぶり実施
調査結果によれば、外国人であることを理由とした住宅差別体験が前回より4・8ポイント増加し26・1%と目立った。同じく「保証人が見つからなかった」も4・1ポイント増加の26・1%だった。今回新たに加わった設問である外国人であることを理由に物件を紹介してもらえなかった「物件紹介拒否」も14・2%見られた。
「困った経験はない」が前回より5・1ポイント減少したこともあり、報告書は「外国人市民への入居差別は改善されていない」と結論付けた。住宅差別を体験したという割合が比較的高かったのが麻生区、多摩区、中原区。一方、川崎区と幸区では全体の平均よりかなり低かった。
もう一つ、一部ながら外国人であることを理由に不安や危険を感じているということもうかがわれた。具体的には「住んでいる地域の治安についての不安」(体感治安への不安)、「暴力をふるわれる不安・危険」、「脅迫や差別的な暴言を受ける不安」だ。いずれも前回調査よりも大幅に増加している。もちろん大多数の58・1%は「不安や危険を感じたことはない」としているが、これは前回より11・3ポイントの減少となった。
問題は16年に「ヘイトスピーチ対策法」が制定されているにもかかわらず、こうした不安を感じる外国人が増加していることだ。差別的言動を行う団体によるデモや街宣は市の南部で目立ったが、むしろ北部の多摩区、麻生区でこうした不安を訴えた外国人が比較的多いことがわかる。
7月から全面施行された「市差別のない人権尊重のまちづくり条例」はその真価が試されているといえそうだ。
(2020.07.08 民団新聞)