掲載日 : [2018-09-13] 照会数 : 6112
ヘイトスピーチに過料、行政罰適用…東弁「人種差別撤廃モデル条例案」
地方公共団体に制定促す
「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」施行から2年を迎えたのを機に試案「人種差別撤廃モデル条例案」を取りまとめた東京弁護士会(安井規雄会長)はこのほど東京・千代田区の弁護士会館でシンポジウムを開き、全国の地方公共団体に対して条例制定を促した。
モデル条例案は人種差別を許さない禁止規定を設け、過料・行政罰も適用した。いずれも理念法にとどまっている「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」にはなかったもの。なによりも、「対策法」以降目立って増えてきたインターネット上のヘイトスピーチにも対処しているのが大きな特徴だ。
はじめに外国人の権利に関する委員会人種差別撤廃PTの座長を務める金竜介弁護士が「マイノリティーの人権を守るため、人種差別を一刻も早く止めたい」とその必要性を強調した。
モデル条例案作りを実務的に担った一人、師岡康子弁護士は、権力の濫用を防ぐため、そしてなにが差別的行為にあたるのかについての事実誤認をなくすために弁護士やNGO、国際人権法学者など専門家による第三者機関の設置を求めた。「これこそが人種差別撤廃委員会が求めているもの」と強調した。
同じく高橋済弁護士は、差別的行為を是正するための最低限の措置として市長は当該行為者に対して氏名公表などの「是正措置」、「警告」と進み、最後に5万円以下の過料を「命令」することができるとした。あくまでも教育啓発と法規制が車の両輪であり、刑事罰は今後の課題として先送りした。
同「外国人の権利に関する委員会委員長」の本多貞雅弁護士は「数多くの議論を重ねた末の集大成だ。東京都をはじめとする各公共団体がこれを参考に条例案をつくっていってほしい。東京弁護士会としてはこれからも取り組みを続けていく」と締めくくった。
(2018.09.12 民団新聞)