
同書は無政府主義者・金子文子(1903~1926)の思想を、著書『何が私をこうさせたか』をはじめとする記録からたどった論考。
金子文子は、韓国出身の無政府主義者・朴烈(在日韓国民団初代団長)とともに大逆事件で逮捕され1926年に刑務所内で自死した。
著者は、金子文子が尋問時に述べた「すべての人間は完全に平等であり、したがってすべての人間は人間であるといふ、ただ一つの資格によって人間としての生活の権利を完全にかつ平等に享受すべきはずのものであると信じております。」との言葉に心を捉えられ、文子の思想を読解していく。
第1部では文学研究的なアプローチで金子文子の表現を読み解き、第2部では文子が自死を選ぶまでの末期思想に至るまでを検証する。著者は日本大学国際関係学部教授を経て現在、同・特任教授。(皓星社、安元隆子著、四六判、256㌻、2500円+税)