
日本社会文学会26年度春季大会「排外主義はいま 被害者意識と暴力を問い直す」が6月20日、東京・早稲田大学戸山キャンパスで行われ、在日コリアン2世の作家・深沢潮さんが特別インタビュー「分断の線をいかに越えるか」で報告した。
深沢さんは、一つ一つの作品執筆にまつわる裏話などを語った後、「在日2世として生まれたことで、国家を意識せざるを得ない環境で育った。それを言語化した小説を、編集者と打ち合わせしながら発表してきた。結婚をテーマにした作品も執筆しているが、在日女性の結婚が民族や社会と結びついている部分があるため」と話した。
そして「排外主義は大昔からあり、その時々の経済状況や社会不安、施政者の動きなどで起きてきた。私は作家として、それを小説に書き記したいと考えてきた。そうすることが在日コリアンとして受けとめることにもなると思う」と強調した。
その後のシンポジウムでは、宮沢剛・二松學舎大学非常勤講師が「差別の連続性と変化」と題して報告し、在日1世の詩人・金時鐘さんの「『差別』の中の起点と視点」から「日本人自身のまっとうな自立の中でこそ、在日朝鮮人は自由だということを忘れないでください」などの言葉を引用し、排外主義に対してどう考えていけばいいのか問題提起した。
韓国出身の崔真碩・広島大学准教授は「行くべき道がない、どん詰まりの道の上で―竹内好と李箱の文学思想」と題して報告し、「『夢から醒めて、行くべき道がない』状態に堪えられない人が、排外主義に走るのではないだろうか」として、「『自分が朝鮮人であるという自覚を抱いて朝鮮人であること』。私はこの感覚を、文学を通して、手渡しで伝えていくだけだ。行くべき道がないが、勇気を出して、一歩前に踏み出す」と締めくくった。