
著者は1988年、在日2世の父と日本人の母の「ダブル」として生まれる。20年に在日コリアンカウンセリング&コミュニティセンター(ZAC)開設。公認心理師、臨床心理士。
在日コリアンの歴史的トラウマが「日本による植民地支配の歴史、それを背景とする差別に起因する」ことが説明され、「歴史‐社会‐個人の3者すべてに光を当て、統合的に自分自身を捉える視点が、在日コリアンだけでなく、日本人にも必要なのかもしれない。歴史の流れの中に今の私たち個人の日常があることを、今一度捉え直したい」と強調する。
著者がこれまで発表した博士論文をもとにしているが、第1部「私自身について」で、「家庭生活がすでに破たんしており、苦しみの中で育った」過程を詳細に述べることで、より説得力を持って語られている。在日コリアンの「心の問題」について詳細に研究した本は数少なく、指針となる一冊だ。(明石書店、朴希沙著、A5判、288㌻、税込4400円)