掲載日 : [2022-08-03] 照会数 : 1988
映画「雪道」 東京、名古屋で公開
[ 慰安所を脱出、手をとりあって逃げるチョンブンとヨンエ ]
従軍慰安婦として連行された2人の少女の友情と苦悩を描いたイ・ナジョン監督の映画「雪道」が今月、シネマハウス大塚(東京・豊島区)とシネマスコーレ名古屋(名古屋市)で公開される。
甘言にだまされて従軍慰安婦に
少女2人の苦難と友情
「雪道」は、従軍慰安婦を題材に2015年2月28日と3月1日に放送されたKBS(韓国放送公社)第1テレビの光復70周年特集ドラマを映画化した作品。
主人公は、忠清南道の江景という村に暮らす15歳のチョンブン(キム・ヒャンギ)とヨンエ(キム・セロン)。貧しい家のチョンブンは、地主の家に生まれたヨンエが羨ましく、兄のヨンジュに思いを寄せていた。
ヨンエは日本で勉強ができるという言葉にだまされて勤労挺身隊に志願し、日本に行くことに。チョンブンは悪徳ブローカーに「日本に行けばお腹いっぱいご飯も食べられるし、学校にも行かせてもらえる」と声をかけられる。
ある日、夜中にチョンブンは何者かに連れ去れる。列車の中で目を覚ましたチョンブンは、日本に行ったはずのヨンエと再会。2人はそのまま中国の牡丹江にある日本軍の慰安所に連行される。あらゆる苦難を経験した2人はやがて脱出に成功するが、傷を負ったヨンエは途中で亡くなる。
本作はフィクションだが、多くの慰安婦被害者の証言を基に制作された。脚本を手がけたユ・ボラさんは、以前から関心を持ち、水曜デモにも参加して元慰安婦ハルモニたちからさまざまな話を聞いたという。
戦争の痛み、いまも
非人間的な行為が行われる中でチョンブンは、故郷に帰るために生き抜こうとし、ヨンエは妊娠した後、堕胎薬を飲むのを拒否し、自殺を図ろうとする場面は、2人の生き方の違いを如実に示している。
生き残った高齢のチョンブン(キム・ヨンオク)は、貧しい一人暮らし。過去を回想しながら生きる姿は、戦争によって受けた痛みの記憶が、けっして過去のものではないことを表している。
チョンブンは隣で一人で暮らす女子高校生との交流を通じて、人生を前向きに生きようとする。
今も世界では、戦時下での女性に対する性犯罪や暴力によって被害者が生まれている。この映画には、被害で苦しむ女性たちを理解するきっかけにしてほしいとの思いが込められている。
<シネマハウス大塚>6~19日、27日、28日上映。10時20分、13時、15時40分。劇場で民団新聞または民団ホームページを見たと伝えれば、家族、友人ともチケット一般1800円を1200円で提供する。
<シネマスコーレ名古屋>13日~9月2日。10時20分。
詳細はホームページ(nka‐promote.com)。
(2022.08.03 民団新聞)