掲載日 : [2022-09-26] 照会数 : 3159
朝鮮工芸へ捧げた愛…「柳宗悦の心と眼」を展示
[ 韓国文化院ギャラリーMI展示場(東京・新宿) ] [ 染付葡萄文壺(左)と石窟庵調査ノート(初公開) ] [ 白磁や水入染付、牡丹皿などの「選品スケッチブック」 ]
駐日韓国文化院「日本民芸館所蔵朝鮮関連資料をめぐって」
日本民芸館の創設者である柳宗悦(1889~1961年)著『朝鮮とその藝術』刊行100周年「柳宗悦の心と眼‐日本民芸館所蔵朝鮮関連資料をめぐって‐」と題する展示会が10月1日まで、韓国文化院ギャラリーMI(東京・新宿区)で開かれている。本展は同館に所蔵されている柳の朝鮮関連資料をめぐって、2019年度から韓国・国外所在文化財財団の支援を受け、東京芸術大学美術学部工芸史研究室とともに調査研究の成果を披露するために開かれた。
『朝鮮とその芸術』刊行100周年記念
「朝鮮の出会い」「朝鮮の友として」「朝鮮の美を伝える」「今に続く柳の心と眼」の4章から構成され、肉筆原稿やスケッチブック、写真などの貴重な資料が展示されている。
柳は、1916年の初旅行を皮切りに、1940年まで21回朝鮮を旅行した。「石窟庵アルバム」は、初旅行の途中、石窟庵を訪れた記念に制作したもの。
「石窟庵調査ノート」(初公開)は16年に柳が記したとされている。慶州と石窟庵に関する内容がほとんどだが、旅行の日程や美術品の購入記録などが詳細に綴られている。
21年に記した「選品スケッチブック」には、白磁や水入染付、牡丹皿など、作品のスケッチが描かれている。
初公開されている「メモランダ スケッチブック」は、20~22年に柳が陶器をスケッチしたもので、模様が詳細に描かれている。22年10月の李朝陶磁器展覧会を準備するために韓国を訪れる中で描いたものと見られている。
肉筆原稿の『朝鮮の美術』(22年)は、当初、雑誌で掲載した論説「朝鮮の美術」を後に書籍化した。
このほか、染付葡萄文壺や鉄砂龍文壺、1920年5月13日に京城・太華亭で開かれた柳の歓迎会や、窯跡として有名な鶏龍山窯跡で、浅川巧、浅川伯教、米国の東洋美術学者ラングドン・ウォーナーの夫人とともに写っている写真、1947年に150部のみ印刷され、関係者にのみ手渡された書籍『今も続く朝鮮の工藝』(写真部分)など、柳の足跡をたどることのできる貴重な資料約40点が紹介されている。
開館10~17時。無料。問い合わせは同院(03・3357・5970)。