掲載日 : [2021-03-15] 照会数 : 5697
次代に語り継ぐ東日本大震災…民団宮城と駐仙台総領事館が写真展共催
[ 朴容民総領事夫妻に説明する金政郁団長(中央) ]
[ 黙祷を捧げる参加者 ]
東日本大震災から11日で10年。この日、大震災の記憶を心に刻み、次世代に語り継ぐイベントが宮城と兵庫であった。駐仙台総領事館は写真展「2011年東日本大震災を記憶して」を民団宮城本部と共催。兵庫県では播磨地域の高校生たちがドキュメンタリー映画「15歳、福島で何を考える」を自主制作し、神戸市と姫路市でお披露目した。民
【宮城】東日本大震災発生当時、新潟や秋田から帰国を急ぐ新定住者らの一時避難所として大きな役割を果たした駐仙台韓国総領事館(朴容民総領事)で11日、同総領事館の救援活動と民団の炊き出しを振り返る写真展「2011年東日本大震災を記憶して」が開催された。民団宮城本部(金政郁団長)との共催。
民団宮城は同本部と福島、岩手の両民団本部から寄せられた写真、合わせて数千点のなかから厳選した26点を出品。駐仙台総領事館が保管していた写真を含めて40点が会場に展示された。
当時、駐仙台総領事館には在日同胞をはじめ駐在員、留学生、旅行者など約200人が身を寄せた。金正秀総領事(当時)と職員らは大震災発生直後から48日間、被災者を献身的に支えたことで韓国のヨンサン財団が授与する「今年(2011年)の外交人賞」を受賞した。
民団側が選んだ写真は、中央本部が中心となって被災地で国籍の別なく取り組んだ救援物資の伝達や炊き出し活動の様子を伝えている。
朴総領事は震災直後に犠牲となった韓国人14人とこの10年間に亡くなったすべての被災者に哀悼の意を表しながら、「震災のときは両国民どうしの心がつながったときでもありました」と振り返った。
金団長は「私たちは10年前の大震災の事実を胸に焼き付け、決して風化させてはならない。これからも後世に語り継いでいくためにこの場を準備した」と趣旨を述べた。
炊き出しに感銘…会場アンケートから
60代の同胞女性は婦人会として取り組んだ10年前の炊き出しのことを鮮明に思い出したという。「皆さん、一生懸命生きようと頑張っていらっしゃる姿に胸が痛くなりました。寒い中、暖かい食事を喜んで頂き、少しでも役に立てて良かったと思いました」
同じく60代の別の女性は炊き出し写真から受けた感銘を次のようにつづった。「被災地に入り炊き出しをしているのを見て、すごい‼ 自分達も大変な時なのに、他者を助ける愛情いっぱいのまなざし、力強い行動、印象的でした」
ある同胞(70代)は「韓国の大統領をはじめ多くの韓国の方が関心をもって日本に来て義援金および物資を渡されたことを改めて知りました。また婦人会の炊き出しの活動の様子がよくわかりました」と胸のうちを記した。
50代の同胞女性は10年前、小さい2人の子どもを民団に預けて仕事に出かけたという。当時を思い出して「団員の皆様が一丸となり、住民の為、活動をしていらっしゃる姿がとても印象的でした」と感慨深げな様子だった。
20代の日本人学生は一昨年、大震災当時に団長だった李根茁常任顧問から話を聞いた。「本日、現場の様子をあらためてイメージすることができました」という。このほかにも「風化させない決意を感じた」「10年前は大変韓国・同胞の方々にご支援頂きありがとうございました。これからも頑張って生きていきます」というものもあった。
(2021.03.17 民団新聞)