
ヘイトスピーチ解消法成立10周年の連載も、本稿で最後となる。本稿では、まず新大久保商店街振興組合で企画部長をされている韓国人、文光秀氏のインタビューをご覧頂きたい。
―民団との関係についてお聞かせください。
18歳の時に、在日韓国青年会足立支部に参加しました。今は新宿支部に参加しております。
―新大久保商店会にはいつ頃から参加した?
2019年に新大久保に韓服レンタル&撮影スタジオを出店した際に、参加させて頂きました。
―参加してみての感想は?
今は新大久保商店街振興組合の企画部長を拝命しておりますが、加入時から皆様方には優しく受け入れて頂きました。
―「大久保まつり」など、地域でも大切にされてきた行事の運営にも関わる上で、気をつけている事は?
「大久保まつり」は今年で43回目を迎えます。商店街の先輩達が積み重ねてこられた歴史を大切にしたいと思っています。
ヘイトデモが頻発した13年当時、地元の商店主の皆さんで構成される新大久保商店街振興組合は、日本人の方だけで維持・運営されていた。しかし、今ではこうして在日韓国人である文光秀さんも受け入れられ、日々交流を続け、企画部長として活動されている。
多文化共生への地道で実直な歩みがここにはある。ヘイトデモも、反対運動も、どちらもが過ぎ去った新大久保で、地元の皆様の寛容さに支えられつつ、相互理解の芽が大切に育てられている。
▼こうした地域毎の相互理解への地道な取り組みは、本団の諸先輩方が、日本全国で長年にわたって続けてこられてきたことでもある。本団は、綱領の「我々は、日本地域社会の発展を期する。」という精神を握りしめながら、歴史を刻んできたのだから。
10年前、ヘイトスピーチ解消法が審議されていた頃に、「ヘイトスピーチ対策を求める意見書」を地方議会で議決して頂いて、国へ出して頂くよう要望する、という運動を本団が全国的に行ってきた経緯がある。
この結果、意見書を採択して下さった地方議会は328。圧倒的な《取組みの足跡》である。この膨大な地方議会からの意見書がなければ、ヘイトスピーチ解消法も成立までたどり着けていなかったかもしれない。
こうした貴重な取組みも、地域毎に本団団員の皆様が、日々、韓日友好に努め、地域の政治・行政とも交流を重ねてこられたからこそ実現可能だったもので、一朝一夕にできることでは断じてない。
全国各地の本団団員の皆様の《日々の尊い営み》の賜物として成り立った偉業である。この意味で、本団団員の全ての皆様こそが、10年前にヘイトスピーチ解消法という「立法」を成立させた、最大の立役者だと言うべきであろう。
ヘイトスピーチ解消法成立から10年が過ぎて、新たな10年が始まった。この法律の効果が確認できた事も、内容的には不十分で課題が多いことも本連載では書かせて頂いた。
ヘイトのない社会を次世代に残してゆくために、今後どのような方向を求めるかについては、本団としては未だ議論の成熟を見ない。
しかし、熟議を経て本団が《当事者として私達は何を求めるのか》を定められれば、再びこの国の「立法」に声を届けることも十分可能であろう。
本団の皆様の日々の営みに支えられ、ヘイトスピーチ解消法が成立した10年前のあの時に得られた《経験》が生かされるなら、日本の良識的な皆様のご理解を得て、本団からの声は、再びこの国の「立法」に届き得るだろう。
本団本来の民主的過程を経て、10年前から積み残されてきた課題が消化されることを心から祈りつつ、本年5月号からの本連載を終えたい。