民団東京本部管下の実務者協力会(鄭己順会長)は14日から15日にかけて「2025年度定期総会・研修会」を東日本大震災の被災地の一つ、宮城県の民団宮城本部で開催した。これまでは関東近郊で開催してきたが、他地方本部の活動や歴史を学ぶとともに、11年に発生した東日本大震災の現場視察も兼ねた。東京本部をはじめ新宿商人連合会、貴金属協会の実務者らと研修の協力を仰いだ宮城本部の幹部ら39人が参加した。
鄭会長は「東日本大震災を体験した宮城本部で活動や歴史を学び、実務者としてのスキルアップを図った上で今後の各支部活動や団務運営に役立てていこう」と挨拶した。東京本部の李壽源団長は「共通の目標に向かって力を合わせて進んでいくことが大切だ。今年も多くの課題や挑戦が待ち受けていると思うが、力を合わせて切磋琢磨しながら、実務者としてさらに成長していけるよう努力しよう」と激励した。
研修会では宮城本部の李純午団長が講師となり「民団宮城県本部の活動内容・歴史、東日本大震災当時の状況や復興への道のり」をテーマに講演した。李団長は青年会に関わる経緯や現在の民団活動を紹介し、東日本大震災発生当時に民団中央本部と連携した活動等を当事者の立場で語った。参加者らは真剣なまなざしで講演に聞き入っていた。研修後には民団宮城本部の李根茁常任顧問も駆け付け、両本部の交流が行われた。
2日目は石巻南浜津波復興祈念公園にある「みやぎ東日本大震災津波伝承館」を訪ねた。石巻市は約4千人が亡くなった国内最大の被災市町村で、中でも南浜地区は津波の襲来とその後に発生した火災の延焼により500人以上が亡くなった地域。館内では震災当時の状況を記録した映像「くり返さないために」を視聴し、ガイドの説明を受けながら被災した街の写真や証言、資料を見学した。移動した石巻市震災遺構門脇小学校は、津波火災による被災状況を残す全国で唯一の震災遺構。津波の猛威と火災の脅威を生々しく物語っている。
「他県本部の活動や歴史を学び東京との違いを実感することができた」「自然災害の恐ろしさと防災の重要性を改めて感じさせられた。震災の恐ろしさと命を守る行動の大切さを強く心に刻んだ」「東京でこのクラスの災害が起こった場合、自分に何ができるか考えさせられた研修会だった」との声が上がった。東京本部の朴昭男監察委員長も参加した。