韓国経済団体の韓国経済人協会(韓経協)と日本の経団連は18日、ソウル市内で両団体首脳の懇談会「韓日財界会議」を開催し韓国側から17人、日本側から7人の財界人が出席した。
韓経協の柳津会長は開会のあいさつで「新たな60年に向けて何をすべきか、両国の経済人は真摯(しんし)に設計しなければならない」とし、「少子化、地方消滅、気候危機など直面する問題の解決はもちろん、世界経済のパラダイムシフトを共に主導する協力策の構想も必要だ」と述べた。
続けて「人材育成、技術開発、標準導入分野での協力を具体化し、主要7カ国(G7)、主要20カ国(G20)、経済協力開発機構(OECD)の協力の枠組みを一層強化しなければならない」と強調した。
経団連の十倉雅和会長は「来年の国交正常化60周年に向け、未来志向の韓日関係構築のために努力しなければならない」と呼び掛けた。
また、両国の協力課題として ●重要物資の共同調達 ●水素・アンモニア供給網(サプライチェーン)の構築 ●韓国の包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟支援 ●スタートアップ連携フォーラムなどを提示した。
最初のセッションでは「持続可能な社会実現のための韓日協力」をテーマに、韓国と日本の水素・デジタル転換協力に関する議論が行われた。
出席者は持続可能な社会のために二酸化炭素(CO2)削減が必要だという認識を共有し、水素をはじめとするクリーンエネルギーの生産、運送、活用など全般にわたる協力策を話し合った。
なかでも水素を最も重要な協力分野とし、両国政府間の水素協力に関する対話が民間に広がってこそ協力が具体化されるとの意見で一致した。また、両国企業の水素モビリティー分野の技術標準の統一、商用燃料電池車(FCV)市場の拡大、第三国の充電インフラ拡充に向けた協力なども提案された。
続いて開かれた「貿易投資分野の韓日協力」セッションでは、経済安全保障と先端産業で協力し、シナジー効果を上げる必要があると強調した。
これに関連し、重要鉱物の共同備蓄制度を設け、一方の国の供給網に危機が生じた場合に備えてリスクを分散する方策が議論された。
さらに、今年6月に発足した「韓米日ビジネス対話」をプラットフォームとし、3カ国間の経済協力拡大を提案する意見も出た。
最終セッションの「未来のための韓日協力」では、来年の韓日国交正常化60周年を記念するための方策が議論され、韓日の人的交流は30~40代を中心に行われるべきだという声が上がった。
続いて、人的交流をより円滑にするため、両国首脳が9月に推進を決めた事前入国審査制度を来年に韓国・慶州で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、日本の大阪・関西万博と連携して速やかに導入することで両国が合意した。
両団体は今回の会議で、両国の共同繁栄に向け未来志向の協力を続けるという内容を盛り込んだ共同声明を採択した。
共同声明には ●OECD、APEC、G20、G7などでの韓日間協力のための努力 ●持続可能な社会実現に向けた努力 ●安定した供給網や水素などクリーンエネルギー協力 ●新産業など国際標準の準備における協力 ●韓米日の経済協力強化 ●人工知能(AI)、量子コンピューターなどにおける高度人材活用での協力 ●スタートアップ連携 ●国交正常化60周年を記念した多様な世代・分野での協力――などの内容が盛り込まれた。