【神奈川】川崎市の在日3世、崔江以子さんを狙い、執拗にインターネット上で「祖国へ帰れ」とヘイトスピーチを繰り返した未成年者に昨年10月、194万円の慰謝料が命じられた。裁判過程と反差別の闘いをつづった書籍「『帰れ』ではなく『ともに』」(大月書店)の出版記念会が12日、川崎市労連会館で開かれ、約400人が参加した。
主催した市民団体「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」の山田貴夫代表は「川崎市に罰則付きの条例を制定させたこと、当事者の頑張りと強固な弁護団により、ヘイト裁判は連戦連勝の成果をあげている」と報告した。
川崎市ふれあい館に集うハルモニらから裁判勝訴を祝う動画では「闘いは途中で止めたら駄目。後に続く子どもらのために最後まで頑張って」とメッセージが届いた。ジャーナリストの有田芳生・前参議院議員は「2006年のヘイトスピーチ解消法成立に向け、参考人として国会で証言した崔さんの努力、その後の怒りの蓄積が今日に繋がった」と経過説明した。 著者の一人、神原元弁護士は「『帰れ』と言われたら『慰謝料100万円』と切り返してほしい。理念法だった『解消法』が実行力を発揮し始めた」と評価した。師岡康子弁護士は「被害者がいちいち提訴しなくてはならないのか。頑張らなくてはならないのは私たちマジョリティの日本人だ」と強調した。崔さんは「『帰れ』が違法と認定された。一番多くこの言葉をぶつけられる朝鮮学校の子どもらにこの本を読んでほしい。川崎でヘイトデモができなくなった者が埼玉でクルド人を攻撃している。川崎の成功体験を埼玉に届けたい」と締めくくった。