
三重県の一見勝之知事が昨年12月に打ち出した「国籍要件の再検討」(国籍条項の復活)について、県は6月に実施される採用試験では従来通り外国籍者への受験を認めるとした。
ただ、各種報道等によると、県は引き続き採用取りやめに向けた検討を続けており、今年9月以降に実施する別の採用試験では国籍要件を設ける可能性があるとの見方もあり、しばらくは目を離すことができそうにない。
民団三重県本部を筆頭に、県下市長らが相次いで反対の意見表明をしたほか、人権団体や商工会議所など計190団体、大学教授などの研究者ら414人が県に反対の意見書を提出。
連合三重会長は「外国人と共にやっていくために県が動いていたのに、後退するのはすごく残念」などと述べている。身内の県幹部や県議からも「多文化共生に逆行する」などと反対の声があるというが、一見知事は周囲に「私が責任を取る」と語り、導入にこだわっているという。
一見知事が「参考にする」としていた県民1万人アンケート調査について、結果の一部が最近明らかになり波紋を呼んでいる。外国人採用を「続けるべきでない」(国籍要件を復活すべき)という回答が過半数に届かなかったのだ。
一見知事は「続けるべきでない」という回答がもっと多いと見込んでいたようだが、結果は「続けるべき」「続けるべきではない」「わからない」がそれぞれ3~4割だったという。
アンケートに疑念も
同アンケートはまた、別の面でも大きな議論を巻き起こしている。外国籍住民も地域社会の構成員でありながら、公務員採用など自身の生活や権利に関わる可能性のある行政課題について意見を述べる機会が奪われているという指摘がそのひとつ。
また、質問内容が誘導的だとの声もある。外国籍職員による「公務員の守秘義務に抵触する事案が発生することが懸念される」との前提でアンケートを実施すること自体、外国籍住民に対する偏見や差別を助長するものであるというものだ。
三重県は1999年に49職種の内、44職種で国籍条項を撤廃し、記録が残る20年ほど前から9人の外国人が採用され、現在は1人が医療職で働いているという。
三重県は、県内総人口に占める外国人の割合(3・87%)が全国でもトップクラス(第4位)。外国籍者が公務員への道を閉ざされることになると、その影響は甚大だ。単に他自治体への波及に止まらず、民間企業へどのように飛び火するのか強く憂慮される。決して許してはならない。