掲載日 : [19-07-05] 照会数 : 28158
「差別禁止条例」を川崎から近隣の市、県へ
【神奈川】ヘイトスピーチを含む不当な差別を広く禁止し、悪質と認めたケースには刑事罰を規定した「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(素案)」の実現を応援する市民集会が4日、川崎市労連会館であった。市民団体「ヘイトスピーチを許さない」かわさき市民ネットワークが呼びかけた。
素案を分析した神原元弁護士は講演で「差別を『許されない』のではなく、『禁止』とはっきり言いきった。きわめて進歩的、画期的な条例となりそうだ。他自治体の関連条例と比べても先駆的といえる」と高く評価。「正式な条項案でも禁止規定は絶対に入れるべきだ」と強調した。
差別的言動に対する禁止規定は市長による勧告、行政処分にあたる命令と進み、命令に従わなかったときは氏名または団体の名称・住所などを公表し、刑事事件として裁判にかける。量刑は「50万円以下の罰金」としている。
ただし、捜査権限のない市の職員が勧告や命令に必要な当事者の名前や住所をどこまで特定できるのか。証拠収集はどうするのか。なによりも、捜査の端緒として「市民等の申出」が認められるのかどうか。神原弁護士はこうした疑問点はパブリックコメント(意見公募)を通じてさらに詰めていく必要があると呼びかけた。意見公募は8月9日まで。
3年前から刑事罰を入れた条例の必要性を訴えてきた師岡康子弁護士は「差別は犯罪だとやっと川崎市が認めてくれた。本当に大きな一歩だ。この差別禁止条例を川崎だけでなく近隣の相模原市、横浜市、そして神奈川県と広げていくことで、最終的には国をも動かすことができるだろう」と述べた。市は12月議会での可決をめざしている。