掲載日 : [23-06-03] 照会数 : 3603
「民団徳島本部脅迫状」被告に有罪判決
[ 判決を受け開かれた姜盛文団長の記者会見=31日午後、徳島市 ]
徳島県小松島市の民団徳島県本部に昨年9月、「実弾で浄化する」との趣旨の文書を送りつけたとして脅迫罪に問われた徳島市の大学生で政治団体「日本第一党」元党員の岩佐法晃被告(40)の裁判で、徳島地裁は5月31日、「韓国人への差別意識を強くうかがわせる言葉が使われている」として懲役10月、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役10月)の判決を言い渡した。
検察側は国内の法廷で初めてとみられるヘイトクライム(憎悪犯罪)との言葉を使って犯行を指弾していた。細包寛敏裁判官は、「脅迫の文言は、差別意識を強くうかがわせ、被告の考え方は偏見にまみれ、独善的で身勝手ものだ。犯行は到底、許されるものではなく、厳しい非難に値する」と指摘し懲役10か月、執行猶予4年を言い渡した。
判決を言い渡した後、裁判官は被告に対して「意に沿わない人を一方的に排除することは許されることではなく世界中どこでも変わらないことだ。あなたと違う意見を持つ人の意見こそよく聞いてほしい」と述べた。
民団徳島本部の姜盛文団長は裁判のあとの会見で「今日の判決がどういった社会的メッセージになって抑止力になるかはわからないが、少しでも予防注射的な形になればと思います。二度とこういうことは起こってほしくない。私どもが安心して暮らせるような日本社会になってほしい」と話した。
会見に同席した民団人権擁護員会の李根茁委員長は「今ある法律でしか裁けない中で裁判官や検事は最善を尽くしてくれたと思う。ただ、抑止力が強くならなければ被害者が守られない状況が続くので、ヘイトクライムを規制する法律を、我々として求める必要があると感じた」 と述べた。