[ 韓国中央会館で開かれた全国地方団長・中央傘下団体長会議 ]

「団員拡充へ家庭訪問」、「次世代育成へ オリニ事業」など
5大重点事業推進を確認

　民団中央本部は１３日、韓国中央会館（東京・港区）で２０２３年度前半期全国地方団長・中央傘下団体長会議を開き、①組織基盤強化 ②同胞の生活と権益擁護 ③次世代育成 ④韓日友好促進 ⑤平和統一寄与を柱とする２３年度重点方針を実行していくことを確認した。同会議は、第７７回定期中央委員会で承認された活動方針を実践するための共通認識を確立する会議。

　会議には３月の地方大会で選出された全国の新任および再任地方団長、中央傘下団体長、事務局長ら１１０余人が参席した。

　呂中央団長は「すっきりしない民団の状況をすっきりしたい」と皆さんと胸襟を開いて冷静に議論したいと述べ、また前日の中央執行委員会で臨時中央委員会開催の承認を受けたことを報告した。また尹徳敏駐日大使も参席して祝辞を述べた。

　 徐元喆 事務総長は全般課題の中で「超少子高齢化の影響が民団組織全体にも及んでおり、過疎地方・支部の維持が困難になっている」と危機感を表明。組織基盤強化へ地方の実情に適合した制度の改革と規約規定の改正を急ぐよう促した。

　一方、韓半島にルーツを持ち、２つの民族性をもって生まれてくる３、４世は増えているのが現状。今後、組織の生き残りをかけて、政策や方針に多様性を認めていく懐の深さを求めた。

　具体的には組織活動の原点に返って家庭訪問を繰り返し、団員との意思疎通を図りながら絆を深めていく。併せて、新定住者や韓人会、日本籍同胞を積極的に受け入れるなどして在日同胞社会の和合に努めるよう示達した。

　中央レベルでもスマートフォンアプリ「ＫＪアプリ」の開発を急いでおり、団員はもとより日本籍同胞、新定住者との連携を後押ししていく。同時に本国要路と交渉を重ねて財団支援金の増額を確保しており、割当金の減額措置をとるなど、地方で活動が円滑に進められる環境を整えた。

　このほか、「民団生活相談センター」では地方センターを３カ所増やし、相談態勢の充実化を図る。へイトスピーチ・ヘイトクライムに対しては、決して許さないという断固とした意思を示した。新設の「民団・留学生支援センター」は生活相談センターと連携しながらアパート入居や就職先の確保を支援していく。

　次世代育成では「オリニ事業促進セミナー」を地域ごとに推進。中高生対象の「韓国文化探訪スクール」を８月に、大学生対象の「ライジングスターセミナー」は９月に実施していくことを明らかにした。

　６月には「脱北者支援センター」設立２０周年を記念しての交流会をソウルで。同じくソウルで１０月には「韓日パートナーシップ共同宣言」２５周年記念大会も開催する予定。これは韓日親善協会、日韓親善協会、民団が３団体合同で取り組む。

　各局からの前半期団務示達は２６日に韓国中央会館で開く在日同胞社会地位向上セミナー（全国事務局長会議）で行う。

不規則発言相次ぎ混乱
　質疑に入った冒頭、金政弘京都本部団長の第７７回定期中央委員会に対する質問を皮切りに不規則発言が飛び交い、団長や副団長が制止に努めるも沈静化せず、真摯に議論しようとする姿勢は見られなかった。

　中央委員３３人に書面決議書を送付しなかった件に関して、議決・執行の両機関が説明した。両機関は、議長を認めないとする人士にとっては、朴議長が招集する会議は中央委員会ではないことになるにもかかわらず、自分たちがその会議に出席する資格があると主張するのは論理矛盾に陥っていると説明した。しかし、論理を理解できない金政弘京都本部団長や金泰煥兵庫本部団長らから「わからんことしゃべるなよ」「アホちゃうか」など品位を欠くヤジが相次ぎ、甚だしい不見識を露呈するありさまとなった。

　また何度も督促を受けながら中央割当金を拠出せずに一時的に一部直轄措置となった地方本部団長が「中央執行部を認めないから払わない」との組織規範を無視した発言も飛び出し、失笑を買った。また中央執行委員会で組織決定したにもかかわらず「私は反対した」と執行委員会の決定を無視する中央執行委員の発言を含めて、組織運営の基礎が理解できていない状況も明らかになった。

　もともと発言権がない監察機関だが、張仙鶴監察委員が何度も強引に演壇のマイクを取り、職員に制止される見苦しい場面もあった。

　会議終盤には、参席した中央執行委員の発言を認めないとする李壽源東京本部団長が、中央団長の進行を無視して席を立って中央副団長に詰め寄り、大声で暴言を吐くなど、混乱を引き起こした。この混乱状態に中央団長は、もはや会議の体をなさないと判断して会議終了を宣言した。一部参加者の妨害によって、真摯に議論しようと望んだ多くの地方の期待を裏切った形となった。

　何度も制止したものの怒号と不規則発言が飛び交い、昨年の第７６回定期中央委員会と同様の混乱した会議となった。第７７回定期中央委員会を混乱が予測されると書面決議に変更したが、予測した通りの会議となった。