国連人種差別撤廃委員会は6月25日、「改定入管法」について「不均衡な影響を懸念する」として、日本政府に見直しや廃止措置への回答求める緊急書簡を送った。
同法が市民でない人たちに ①差別的な影響を及ぼさない ②国外退去命令への異議申し立てなどの救済措置を利用できるようにする‐などを求めた。同法には、永住許可のある外国人が故意に納税しなかったり、拘禁刑に処された場合に永住資格を取り消すとの内容が盛り込まれた。在留カードの常時携帯を怠った場合も取り消しの可能性がある。
同委員会は入管法改正案の見直しや廃止措置の情報を含む回答を8月2日までに提出するよう求めている。
この書簡について、一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)の藤本伸樹さんは「税金や社会保険料の滞納や軽微な法令違反に対して、ペナルティを科すだけでなく、『永住者』の在留資格まで取り消すのは、外国籍者に対する差別であると人種差別撤廃委員会が判断した結果なのでしょう」と述べた。
また、特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)を通じて人種差別撤廃委員会に4月8日に1回目の情報提供を、同委員会からの求めに応じて入管法改定法案が衆議院本会議で採決された5月21日に追加情報を送ったことを明らかにした。2回目の情報には民団が4月30日に発表した永住資格取消しに対する声明についても報告。「多くの反対の声があがっていると書簡が言及していることから声明が功を奏したのでしょう」と重ねた。