掲載日 : [22-09-20] 照会数 : 4093
職場でのヘイト断罪…最高裁 会社側の上告棄却
【大阪】職場でヘイトスピーチないしこれに類する資料を繰り返し配布されるなどして精神的苦痛を受けた在日韓国人3世の女性が、東証一部上場企業である大阪府岸和田市のフジ住宅と同社の今井光郎代表取締役会長に損害賠償を求めた上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は8日、会社側の上告を退けた。これで損害賠償を増額するとともに文書配布行為の差し止めを認めた大阪高裁控訴審判決が確定した。
一審の大阪地裁堺支部は2020年7月、フジ住宅と今井会長の行為を「違法」と判断し、110万円の賠償を命じた。フジ住宅側は「表現の自由」を持ち出して反論。原告側も、原告個人に向けられた差別的言動だったことが裁判で認められなかったとして控訴していた。
一方、大阪高裁の控訴審ではフジ住宅側が、職場において、朝鮮民族はすべて嘘つきであり、信用することができず、親中・親韓的態度をとる人物はすべて嫌悪されるべきであるなどといった意識を醸成させ、原告の人格的利益を侵害したと認め、損害賠償額を増額して132万円の支払いを命じ、資料配布の差し止めを命じた。
同時に、フジ住宅側が提訴後も社内で、原告を含む全従業員に対し「温情を仇で返すバカ者」「腹が立って殴り倒してやりたい気持ちです(中略)クズと関わっても仕方ありません」などと原告を侮辱する文言の文書を繰り返し配布し続けている事態を重く見て直ちに配布を禁じる仮処分命令も出した。
原告支援団体「ヘイトハラスメント裁判を支える会」事務局は11日、支える会の総会として大阪市内で開催予定だった集会を急きょ「勝訴確定報告集会」に変え、原告、弁護団とともに喜びを分かち合った。集会では「確定判決を活かして、フジ住宅、そして日本社会がどう変わっていくのか、変えていくのか、そのことが問われているという問題意識で一致した。
11月に集会開催
11月26日には会の今後について考える集会を大阪市内で開催する。