掲載日 : [21-05-26] 照会数 : 8551
団員宅に励まし電話…コロナ禍、民団の求心力向上を模索
「愛知方式」試案提起…大阪はワクチン予約手助け
コロナ禍の中、各地方本部も感染防止対策と民団活動の両立に苦慮している。「緊急事態宣言」の発出されている各地方本部に聞いたところ、「いまは人が集まってやる大衆事業は困難」という認識で一致した。一方で「コロナを嘆いていても始まらない。いまだからこそできることがあるのでは」という前向きな意見も聞かれた。民団愛知本部(朴茂安団長)と民団大阪本部(李元徹団長)は団員と民団を繋ぐ電話作戦を検討している。閉塞感打破へ手探りが続く。
愛知の姜裕正副団長が民団の求心力向上にと考えたのが団員宅に励ましの電話をかける「ヨボセヨコール運動」。同本部としての正式な方針採択には至っていないので、まだ試案の段階だ。
要項(案)によれば、活動者は支部3機関役員、婦人会、そのほかできるだけ多くの役員で構成。それぞれが同じ町内、以前からの顔見知りといった人間関係の濃いところを選んで1日10件以上電話し、近況の確認と困りごとへの対応にあたるという。全体の運動体制は支部事務部長が立案する。
姜副団長は「コロナ禍とはいえ、大衆活動ができないのは民団のありかたの根幹にかかわる。このままいけば財政的にも組織的にも来年あたりに落ち込むことは容易に想像できる。そこで、支部を通じて団員に直接声をかけて、激励をしてはいかなければと考えた。ただの世間話に終わってもいい」という。本来の家庭訪問活動は猛暑の季節を過ぎたら提示する方針だ。
大阪の電話作戦は新型コロナワクチンの予防接種を希望する団員の予約を手助けするのが目的。個人で予約電話をしてもつながらない、インターネットに不慣れという高齢団員に「お手伝いしますから支部まで赴いてください」と呼びかけるという。実施を前提に近く全体会議にかけていく。
朴鍾寛事務局長は「コロナ禍なりのやり方がある。例えば、BTSが大阪まで来て公演してもらうのは無理でも、オンライン配信のコンサートを民団主催でやるとか。先手必勝で実現できるものがありそう。民団に漂う閉塞感を何とか打破したい」と話す。
「団員さんあっての支部、支部あっての本部」が民団大阪のスロ‐ガンだ。李団長も「団員が民団に何を求めているのか。お金は団員の目線で必要とされているところに使え」と職員に指示しているとのこと。
■主要事業中止は避ける…各地対応
コロナ禍で主要事業の見直しを迫られているのは地方も同じだ。主だった本部からは「中止だけは避けたい」という声が聞かれた。
京都は「延期しても中止にはしない」というのが金政弘団長の基本方針だ。5月に予定していた「同胞交流ハンマダン」は緊急事態宣言のため6月に延期した。6月になっても感染拡大が沈静化していなければ、方針を変えて別の行事に変更するという。10月に予定している「コリアフェスティバル」も同様だ。
兵庫の金相英事務局長は「やめたらいいとの声も聞くが、そうすれば民団がどんどんやせ細っていくだけ。ゼロにはしない。延期はあっても、準備だけは常にしておく。オリニサマーキャンプもオリニの晴れの発表舞台となる光復節もやる」と意欲を燃やしている。
福岡でも「時期をずらすことはあっても中止は考えていない」。予定している九州地協協議会は宮崎が主管して対面で開催する。各支部にはマスクと消毒液、ポーチを配り、団員との交流を促している。
広島は3機関会議をすでにリモートに切り替えた。生活相談センターも電話のみ。6月からは韓国語教室と各種文化教室もリモートで行うことにした。支部行事にはスペースにゆとりがあり、密になりにくい本部会館の利用を勧めている。
神奈川は大きな大衆事業を開催できる状況にはないとして、生活者団体の立場から団員サービスに力を入れている。