掲載日 : [21-06-16] 照会数 : 10273
「望ましい中学校歴史教科書」の採択求め横浜市に要望書
[ 横浜市教委に要望書を提出する民団神奈川本部の李順載団長と朴昌泳横浜支部支団長 ]
【神奈川】横浜市教育委員会が市立中学校などで来年度から3年間使う歴史教科書の採択を昨年に続き今年も行うことになった。これは「つくる会」系の中学校用「新しい歴史教科書」(自由社)が再申請を経て、今年3月30日の検定審議会で合格したためだ。
自由社版は2019年度検定で「一発不合格」となったが、20年に修正を加えたうえで再申請し、3月30日の検定審議会を通った。通常は4年ごとの採択に合わせて検定を受けるが、制度の改正で翌年度の再申請が可能となった。実際に適用されたのは自由社が初めて。
文部科学省は今年3月、都道府県教委などに「採択替えを行うことも可能」とする通知を出していた。採択の実施は任意だが、市教委は公正・公平性の観点から「あらためて内容を調査して採択する手続きを重視した」。
民団神奈川本部の李順載団長は14日、民団横浜支部の朴昌泳支団長とともに横浜市教育委員会(鯉渕信也教育長)と神奈川県教育委員会(桐谷次郎教育長)を訪れ、あらためて「史実に基づき国際社会の平和と連帯に寄与できる、近隣諸国を尊重する情緒を培うことのできる教科書の採択こそ望ましい」とする要望書を手渡した。要望書は民団横浜支部との連名。
市教委で趣旨説明に立った民団横浜支部の金展克事務部長は「近隣の戸塚図書館で自由社版の見本本を確認したところ、その記述内容は市教委が不採択とした育鵬社版よりもっとひどいことがわかった。第2次世界大戦がアジアに希望を与えた戦争だったなんて、中学生向け教科書としてほんとうに適切なのかどうか、しっかりと吟味してほしい」と求めた。
市内では09年、18区中8区で自由社版を採択。11、15、19年は同じくつくる会系の育鵬社版、昨年は帝国書院だった。民団神奈川本部の曺壽昭事務局長は、市教委の今後の動向を注視していくと語った。